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内容説明
先の見えない戦時にありながら、見世物小屋の一座として糊口をしのぐ、異形の者たちの家族がいた。未来を言い当てるという怪物「くだん」を一座に加えようとする家族を待つ運命とはーー。津原泰水の傑作幻想短編を、近藤ようこが奇跡の漫画化。月刊コミックビーム2013年8月号~2014年3月号に掲載の全8話を収録。カバー、あとがき(近藤氏、津原氏)は書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
122
漫画。思っていたよりも内容も衝撃的でした。集まっている5人の異形を持った他人は家族以上に思いやり、互いを補い合っていて、素敵な家族でした。2015/05/03
喪中の寺ちゃん
87
近藤ようこによる小説の漫画化作品は、いつか全集を出して欲しい。全て読んだ訳ではないが、今までに読んだものはどれも素晴らしかった。本書もその素晴らしいひとつ。最近、幻冬舎の社長と揉めた津原泰水の短編を1冊の漫画に。一見、乱歩的な残酷な設定に思いきや美しい。耽美的に処理せず、清潔な美しさがある。ひんやりとした哀しみの中で時に暖かみが顕れる。決してアブノーマルとしない世界観がある。ここに昭和20年の広島が絡まる。産業奨励会館を軸に『はだしのゲン』『この世界の片隅に』を絡めて想うと眩暈がする想い。また再読する。2019/07/22
Vakira
64
近藤ようこさんの描く絵は何処か妖しい。明治や昭和の異相物語に合います。夏目漱石や坂口安吾の短編を近藤ようこさんの漫画で読んだから、そう思うのかも。江戸川乱歩の初期短編なんかバッチリ合う感じ。そしてこの本、最近亡くなられた津原泰水さんの短編が原作と言うことで即購入。異形家族の物語。世界観は丸尾末広さんの「少女椿」を思い出した。時は戦争のさなか。異形を晒す事によって生計を立てる血は繋がっていない家族。異形だからこそその絆は強い。そこに未来を予言する生き物「くだん」が登場。5人の未来は果たして・・・2022/10/12
aquamarine
64
原作elevenを読んだのがかなり前だったので、まず原作を再読してから読みました。原作自体を自分自身の中できちんと消化してから目にしたこともあり、ものすごく丁寧に綺麗に漫画化されているのがよくわかりました。特に最終話は原作を補って余りある美しさでとてもとても良かったです。賞を獲ったのも納得です。2017/07/03
コットン
63
『11 eleven』津原泰水の原作を『説経 小栗判官』などの近藤ようこが漫画化しただけと聞いただけでも読みたくなる。表面上はフリークスを描いているのに実はピュアな家族愛を描いている、そのさりげなさがいい。2015/01/06