文春文庫<br> 河北新報のいちばん長い日 - 震災下の地元紙

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文春文庫
河北新報のいちばん長い日 - 震災下の地元紙

  • 著者名:河北新報社
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 文藝春秋(2014/04発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167900595
  • NDC分類:070.21

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内容説明

あの日――2011年3月11日、仙台に本社を置く東北地方のブロック紙・河北新報は壊滅的な被害を受けました。沿岸の支局は津波にのまれ、安否不明の記者や販売店関係者が続出。本社のコンピューターが倒れて紙面制作の機能を失い、休刊の危機に瀕します。しかし現場は、「それでも新聞をつくる!」という気概を失いませんでした。極限の状況下で、彼らは何を考え、どう行動したのか? 新聞人たちの凄絶な闘いの記録が本書です。被災者に寄り添った紙面づくりが胸に迫ります。あの日を忘れないためにも、長く読み継がれるべき書です。

目次

第1章 河北新報のいちばん長い日
第2章 気仙沼から届いた手書きの原稿
第3章 死者と犠牲者のあいだ
第4章 配達が大好きだったお父さんへ
第5章 窮乏するロジスティクス
第6章 福島原発のトラウマ
第7章 避難所からの発信
第8章 被災者に寄り添う
第9章 地元紙とは、報道とは

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

169
東日本大震災からもうすぐ8年が経とうとしています。北海道に住んでいながらも、あのトキの衝撃は尋常ではありませんでした。本当に凄まじかったです。災害発生時の状況を地元新聞社目線で綴るノンフィクションです。最初から最後まで至るところで涙が溢れ、改めて当時の過酷な状況が伝わります。地元ならでは、地元だからこその配慮による報道には本当に胸がアツくなりました。話の中で留学生の件が書かれていますが、ソコがもう素晴らしすぎて参りました。仕事に対する情熱やプロ意識などを再認識させていただけました。北海道も頑張らなければ。2019/03/09

ケイ

98
胸まで水に浸かり、一度は死を覚悟したという気仙沼総局長菊池氏が次の日に手書きで書いた原稿による記事の最後が胸を打つ『余震と火災がやまないけれど、悪夢の日ではない。長い復興に踏み出した最初の日なのだろう』 震災当日も自社ビルの自家発電と新潟日報のサポートで号外も出した河北新報。現地からの声をと必死の取材をした記者達。しかし、救助されたとはいえ被害者の顔をアップで撮るのはどうなのかとも思った。河北新報自身が自問しているように、独自性の追及と取材、そして目の前の救助との問題は深い。2015/03/10

しいたけ

96
「新聞を読者の元に届けることに全力を挙げる。正確な情報は危機を乗り越える最大の武器」。河北新報もまた被災者である。それでも新聞を途切らせず出そうというこの使命感。あの3月12日の朝、情報から遮断された被災者の元に届けられた新聞の意味は重い。津波にまさにのみ込まれようとしている写真、そしてのみ込まれた写真。この凄惨なスクープ組み写真を前に河北新報は悩み、ボツにする。「われわれは被災者と共に、だ」が決断の理由だった。同じく地元で生活し被災者である記者は、何より被災者の心を慮った。記事の真実は一つではなかった。2017/03/05

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

88
2011年3月11日、あの日東北一帯を襲った大震災。「壊滅」、言葉は知っていても、その状態をこの手で伝えることの悲惨さ。電気、水、ガソリン必要物資の欠如。取材、販売網の寸断。その限られた状態の中で、一日も途切れることなく新聞を発行続けた河北新報。この被害の中、果たして報道をするだけでよいのか?救助活動など他にすべき事があるのではないかと葛藤もあったでしょう。一方で停電の中、唯一新聞からの情報で外部との繋がりを感じていた被災者も多かったと思います。「そもそも報道とは何なのか?」この最後の言葉が重い。★★★★2014/03/16

タイ子

81
奇しくもこの日に本作を手に取ることができた。あれから8年、数年経って読むあの日の現実は更に胸に響くものでした。当時、この本を勧められたら私は読むことができただろうか。地元紙の長い歴史を途切らせまいと、被災者に現状を伝えようと、今の記者たちの気持ちを綴ろうと、新聞社が一丸となって必死で闘った日々。涙腺はゆるみっぱなし。記者として伝えたつもりが伝わっていなかった悔しさがラストに記されているのが胸に迫る。まだまだ復興の途中、3.11しか報道されなくなった今、改めて情報の在り方を考えさせられた一日。2019/03/11

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