内容説明
「俺と八〇〇メートル競走しないかい」。偶然こぢんまりとした酒場に入った“私”は、そこで初対面の謎めいた男に異様な“賭け”を持ちかけられる。男は人間の尊厳のために、競走をしなければならないと説くが──。あまりにも意外な結末を迎える、一夜の密室劇を描いた表題作ほか、極北の国々を旅する日本人青年が遭遇した二つの美しい謎「北欧二題」、完全犯罪を企む女を待ち受ける皮肉な結末「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」など、本格の気鋭が贈るバラエティ豊かなミステリの饗宴。第64回日本推理作家協会賞受賞作を含む、5篇の謎物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロユキ
33
表題作「人間の尊厳と八00メートル」は、与太話をいかにそれっぽく聞き手に納得させるかの一点勝負。ラストには予想外の裏切りもありなかなかよかった。以前に読んだことがあるが、「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」は切れ味抜群でミステリとしては一番。推理作家協会賞受賞作がタイトルだけに、ミステリ色の強い短編かと思ったが、そんなことはなく独特な雰囲気の作品でした。2015/09/04
left7
31
日本推理作家協会賞を受賞した表題作の「人間の尊厳と八〇〇メートル」目当てで読みました。表題作もいい結末でしたし、「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」も面白かったです。創元推理文庫から出ていることもありミステリーを期待したのですが、ミステリーと言えるかどうか微妙なものもあったのは残念で自分に合う作品とそうでない作品の差が大きかったです。ただ、この一冊全体に流れる雰囲気は好きなので機会があれば深水さんの他の作品も読んでみたいです。2014/09/10
もち
28
「今日僕は、間違いなく人間の尊厳を証明できたと思います」◆人間にしか、できないこと――。奇妙な理屈を捏ね繰り回す男から、持ち掛けられた800m走勝負。小さなバーで始まった問答は、形容しがたい充実感と意外性を伴って幕を下ろす。(表題作)■推理作家協会賞受賞作を含む短編集。なんといっても表題作の出来栄えが随一。大きな事件どころが、些細な事件すら起こらないのに。論理の組み合わせと心地よい一貫性だけをもってして、驚きを与えてくれる。2017/04/25
ミーホ
27
レビューで気になって初読みの作家さん。色々な雑誌に掲載の趣の異なる短編集とあるが、全体に流れる独特の空気感が心地よい。大好きなミステリー色が薄いのに、どんどん読み進みたくなる吸引力がある。表題作はラストの捻りに唖然。1番気に入ったのは、一見読みにくそうな表意文字あふれる「北欧二題」言葉へのこだわりに共感。心が暖まるラストもいい!全5篇(←篇の字が影響)それぞれの面白さがあって満足。Amazonの中古でハードカバーポチった後に、本屋で文庫を見つけて両方買ってしまった。けど『ま、いいか』と思えた。2014/04/04
しげ
26
深水さん初読み、ミステリーと言うよりも捻りの効いた短編5作品を読ませて頂いた感じです。フランスの留学経験を活かして描かれた3編は著者が若い頃、自ら見て感じた北欧が描かれており価値観と旅愁が伝わって来ました。もう何作か読んで見たいと思います。2022/12/04
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