講談社文庫<br> ひそやかな花園

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講談社文庫
ひそやかな花園

  • 著者名:角田光代【著】
  • 価格 ¥836(本体¥760)
  • 講談社(2014/03発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062777582

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内容説明

幼い頃、毎年家族ぐるみでサマーキャンプをすごしていた7人。その思い出は輝かしい夏の大切な記憶だ。しかしキャンプは、ある年から突然中止になった。時は経ち、別々の人生を歩んでいた7人の中で一人が「あの集まり」の謎を探り始める。――このキャンプは何だったのか、なぜ突然なくなったのか。そして7人が再び会って衝撃の「真実」を知ったとき、彼らが選んださらなる道は――。すべての命に祝福を捧げる物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

544
『空中庭園』『八日目の蝉』に連なる、「家族のあり方」を問う一冊。子どものころ毎年夏になると、山荘でキャンプをした数組の家族。ある年いきなりその集まりが突然なくなり、大人に聞いても誰も本当のことを教えてくれない。あの夏の日は夢か幻だったのだろうか。成長した子どもたちは、お互いを探し出し、キャンプの「秘密」を知るのだった。読みながらいろいろモヤモヤしてしまう。社会のタブー、そしてテーマとなる、家族の本質やあり方。ひょっとしたら角田さんのライフワークなのかもしれない。2022/08/04

milk tea

133
角田さんの本は(真梨幸子さんもそう)は、背景、登場人物が複雑なのでメモを取りながら読む。サマーキャンプで出会った子供達は、みな非配偶者間人工授精で生まれていた。ここから父親探しが始まる。父親とは?この人が私の父です、と自分の遺伝子元がわかればいいのか。真実に近づくにつれ、幸せの意味を探す。これは非配偶者間人工授精で生まれた人だけでなく、生きてるみんなが思うこと。そしてみんな同じように悩みながら生きてる。そうは書いてみたものの、自分だったら与えられた運命を受け入れ、自分の存在にありがとうって言えるだろうか。2017/06/17

エドワード

125
幼い時の夏休みは、夢の楽園。断片的な記憶は永遠の<夏の幻影>。トンボの舞う高原。遠浅の海水浴場。「人間の証明」のジョニーのように、私にも<あれは何の記憶だろう>という夢とも現実ともつかぬ記憶がある。めくるめく夏休みのキャンプの記憶を共有する七人の男女。幼い彼らが成長した後、たどりついた事実とは…。ミステリアスな展開で一気に読ませる。本作品でも、家族の絆を描く角田光代の姿勢は一貫している。「こどもがほしい」夫婦の心は自然だが、こどもは親の所有物ではない。<夏のこどもたち>が背負ったものの大きさが痛切だ。2014/02/24

じいじ

108
年に一度、夏の数日間を過ごすために集まる七組の家族。7人の子供たちは、どう羽ばたくのだろう…。この7人の子供たちからは「家族って? 親子って?」何かを考えなさい、と問題を突き付けられた気がしました。途中、7人の主人公は、少々記憶力にボケが始まった私には辛いなぁ、せめて3・4人にして欲しいと思った。読了してみると、この物語は、7人の子供だから成立したんだと納得した。この小説は、人生において起こりうるかもしれない、という視点で紡いだ著者の力作だと思います。とても読み応えがありました。2022/08/18

R

107
何人かが集まれば、それが仲間のような、まだ名前のない会合になる。詳細でも、複雑でもない設定が、見事に人間ドラマを描いていて、ただ集まっていただけの子供たちが、それぞれ成長し、様々な大人になっている姿、それが再び集まったときの、戸惑いと怒り、だけど、過去を思い出すにつれ、それを許してしまうような、ただの怒りではないものがリアルで面白かった。まったくの他人のはずなのに、なぜか関わってしまうという人間の性みたいなものが、優しさのようにも見えてしまう。2020/01/05

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