内容説明
本書は、さまざまな演奏者・指揮者によるCD(レコード)を徹底的に聴き比べます。対象となるのは厳選された四曲。聴き比べの目的は、名盤を選び出すことでも、演奏者・指揮者の優劣をつけることでもない。あえて、印象批評を前面に押し出し、同じ曲を徹底的に聴き続けることで、その曲のもっている「本質」をあぶり出すことを目指しています。異色のクラシック音楽論であり、音楽とは何かを問い直す。(講談社選書メチエ)
目次
第1曲 ヴィヴァルディ『四季』“春”―演奏家のエゴの痕跡(『四季』とは何か 大指揮者は大きな城を建てたがる ほか)
第2曲 ベドルジフ・スメタナ『わが祖国』“モルダウ”―内容を再現したがらない指揮者たちの反抗(“モルダウ”とは何か 「本場」指揮者たちの演奏史 ほか)
第3曲 ベルリオーズ『幻想交響曲』―自我の中で展開する私小説(『幻想交響曲』とは何か 達者な、しかし空虚な ほか)
第4曲 ムソルグスキー『展覧会の絵』―時間的経験と肉体的経験(「展覧会」という名の時間と空間 指揮者たちは何が欲しいのか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kunio Hanaoka
2
許光俊の本は5冊ほど読んでいる。いずれもクラシック関連だが、この本はいかに音楽を言語化するか、という色彩の最も濃いものとなっていて、美学を専攻している筆者の面目躍如といったところ。「幻想交響曲」と「展覧会の絵」について書かれていたので読んだのだが、その表現たるや「内面を描写しつつ、孤独の心象風景たる野が聴く者の目の前に現前する」(ストコフスキーによる幻想交響曲の第3楽章)、「作曲家の憂鬱が希有で、真性の憂鬱である」(ケーゲルの同曲)といった感じが延々と続く。こうまで書かれると聴かないわけにはいかなくなる。2014/03/06
hr
1
カラヤンの幻想交響曲に出会えたのが収穫。モルダウでボールトの演奏の紹介がないのが寂しい。2021/05/29
vladimir-kyoto
1
演奏をこんな解釈できるものかといつも感心させられる。あと、CD紹介がないのはこの本の性格上か?2015/11/27
やま
1
著者とはあまり好みが合わないが、褒めているCDは不思議と聴いてみたくなる。2014/04/06




