光文社古典新訳文庫<br> ドン・カズムッホ

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光文社古典新訳文庫
ドン・カズムッホ

  • ISBN:9784334752859

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内容説明

「いつもいっしょ……」「こっそりと……」「もし二人が恋仲にでもなったら……」。彼女は視線をゆっくり上げ、私たちは互いにみつめあった……。みずみずしい描写で語られる愛と友情。美少女と美少年の美しくせつない「恋」と「疑惑」の物語。小説史上まれにみる魅力的なヒロインが、こんなところに隠れていた。一見「普通の」温かな回想記のような印象を与えるが、画期的な文学技法上で書かれたブラジル文学の傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

145
短い章立てで、150近くの章があり1章が1ページに満たないのもあり、場面転換が早くしかも訳文がわかりやすく読みやすい本でした。内容的には男性の回顧録のような感じで関係する人物の恋愛関係での話がどれが本当か、という感じでつづられていて楽しめました。この作者のほかの作品もあるので読んでみようと思っています。2016/04/26

藤月はな(灯れ松明の火)

70
老いらくの男が初恋の君について語る。細切れの章は読者への語り掛けや次の展開へ期待を膨らませるような予告などの脱線もある。まさに自由闊達な語りだ。しかし、この小説のポイントはベンチーニョの一人称で貫かれている事だ。カピトゥらの心情は本人達からは語られない故に彼の疑惑の確証が得られない。また、カピトゥの不貞行為への疑惑は克明に描くのに、自身が犯した不貞についてはかなり、暈しているなど、アンフェアだ。『失われた時を求めて ソドムとゴモラ・囚われの女』めいている筋書きなのだ。自己憐憫程、醜く、同時に甘いものはない2023/07/04

ラウリスタ~

18
ブラジルW杯中なので、初めてかもしれないブラジル文学を。これ、かなり面白い。2、3ページの多くの短い章で構成されるテンポのいい小説。教養小説のように始まり、幼馴染と結ばれる幸福な物語として締められるかと思いきや、何度かあった伏線をちゃんと回収してのどったばた。語り手の狂気(嫉妬)が生んだ悲劇なのか、それともあんなやさしいヒロインの不義密通があったのか。サスペンス的な興味をそそりつつも、それがなかったとしても非常に面白い発展(と挫折の)小説。2014/06/20

Porco

17
ブラジル最大の作家の作品だそうですが、訳者解説まで含めて、実に興味深い。2018/09/03

かもめ通信

16
ドン・カズムッホ(=偏屈卿)と呼ばれる男の回想録は、初恋の思い出や青春の1ページから幸せな結婚生活へと続いていくが、読みながら「果たしてこの語り手は信頼できるのか?」「これは後々のための伏線なのか?」とついつい疑ってしまう私はたぶん、かなりすれた読者なんだろうな。 果たしてこの物語は「素直な読者」に向けて書かれたものなのか、あるいは「偏屈な読者」に向けて……?? まあ、どちらでも楽しめればいいわけだけれど。2014/06/05

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