内容説明
佐藤誠。有能な書店員であったと共に、86件の殺人を自供した殺人鬼。その犯罪は、いつも完璧に計画的で、死体を含めた証拠隠滅も徹底していた。ただ一つの例外を除いては――。なぜ彼は遺体の首を切断するに至ったのか? 遠海市で起きた異常な事件の真相、そして伝説に彩られた佐藤誠の実像に緻密に迫る! 気鋭の著者が挑発的に放つ驚異の傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
131
佐藤誠はなぜ首を切断したのか?その理由が全て。首切り殺人を扱ったミステリーは数々あれど、佐藤誠におけるその理由は群を抜いている。間違いなく唯一無二。これは誰にも見抜けないだろう。本自体の構成もユニークで、読む者を飽きさせず一気に読ませる力を持っている。そして、佐藤誠という人物をもっと知りたいと思わせる。巻末にもう一冊、既刊の佐藤誠物の広告が付いている。読みたいと思い検索するがヒットしない。騙された。やられたな、とニヤニヤしてしまう。2022/07/08
🐾Yoko Omoto🐾
118
「リロ・グラ」に魅せられ読了。今作もそのクオリティの高さとセンスの良さに脱帽である。「佐藤誠」というありふれた名前のシリアルキラーは過去86件もの殺人を行った。その周到な屍体処理により犯行は露見せず、容疑者リストにすら名を連ねることがなかった。そんな彼が何故「遠海事件」では首を切断し、又放置するに至ったか、そこが今作最大の焦点となる。メタミス調の凝った構成、着地点に舌を巻く「切断の理由」、そしてラストのトリッキーなサプライズまで「ホントいい仕事してるな」の一言。脇キャラの他作品とのリンクも今後楽しみ。2014/02/23
セウテス
90
「本作は作者詠坂氏が、実際に八十人以上の殺人を行ったと自供する、佐藤誠死刑囚を取材して書かれたドキュメンタリー。本作に先行し、佐藤誠の犯罪実録小説が好評販売中である。」という設定で描かれた、紛れもないミステリである。よくぞここ迄と言う程、設定の作り込みが立体的で小さな驚きが数ヶ所に仕込まれている。読みやすい文章で面白いが、ミステリとしては肝心の何故首を切断したのか、これが解りやすいのが残念だ。これが解かると、事件に隠された謎にも気づいて仕舞う。問題は殺害された多くの普通の人たち、彼らを描いていない事だ。2020/04/11
森オサム
82
凄いなぁ、この作品。変態ですねー、作者は(褒めてます)。作中作なので、イコール倒叙系だろう、と思って読んでましたが、ちょっと違ったかな。いずれにしても、なぜ首を切断したのか?が最後まで分からなかったので、十分楽しめました。子供が被害者の話は嫌いなんだけど、ここまで作り物めいていると余り気にならなかった。佐藤誠がどんな事件でどうやって観念したのか知りたいなぁ、「昨日の殺戮儀」を読みたいので、各社担当編集者は是非頑張って下さい。デビュー作は好きじゃなかったけど、読んでみんと分からんもんだ、面白かった。2019/08/26
アッシュ姉
80
読み方が問われる作品。予想通りと言うべきか、私には本書の魅力が理解できたとは言いがたい。佐藤誠が自白した八十六人もの殺人。なかでも特異な遠海事件を軸に展開されていく。およそ殺人鬼に似つかわしくない人格に興味を惹かれ、途中までは非常に面白かったが、求めていた方向からずれていくにつれ飽きてしまい、ラストも感嘆することなく読了。なぜ首を切断したのかという謎よりも、大量殺人をするに至った動機や背景、自首することになった経緯の方が知りたかったので、モヤモヤが残ってサプライズや仕掛けを楽しむ余力がなかった。2017/08/10
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