内容説明
1974年に三木政権の防衛庁長官に就任した坂田は、防衛・安全保障の「素人」を自認しながら、「玄人」にはできない数々の改革を推進。「防衛計画の大綱」策定など日本の防衛政策に大きな足跡を残した。在任期間は歴代最長の747日。その業績から日本の防衛政策と自衛隊の歩み、そして政治家のあるべき姿を描きだす。
目次
坂田防衛庁長官の登場
坂田が活用した「防衛を考える会」
国会論戦での一手
防衛世論の変化
坂田・シュレージンジャー会談
シュレージンジャー解任と再来日
自衛官への眼差し
基盤的防衛力構想―新しい防衛哲学
画期的な防衛白書
防衛政策の刷新―「防衛計画の大綱」と国防会議
ミグ25機事件
ロッキード事件と濡れ衣
党内抗争を見つめながら
長官退任後の坂田道太
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
26
素人ならいいわけではなく、資質なのだろうなと思いました。しかし防衛のような話は広く俯瞰できる人ではないと厳しいのだろうなと感じました。2022/09/15
うーちゃん
4
私と同郷の熊本出身なので、生前から親近感を抱いていた。テレビや新聞を通じてみる坂田道太は教養豊かな好々爺という印象だったが、本書を読んで、骨のある人物であることが分かった。素人でも真摯に勉強し、常識を働かせて判断すれば道を誤らない。出処進退は潔く。書けば簡単なことだが、これが極めて難しいことは私も50年生きてきたので良く分かる。それを坂田道太はきちんとこなした。防衛の小難しい議論も、筆者が防衛大学校で教鞭をとった人物であるだけに、私のような門外漢にも分かりやすく書かれている。非常に良い読後感だった。2014/05/15
kozawa
4
非常におもしろく読んだ。1975年予算委員会での社会党議員の質問で「防衛計画が正しいとすると、日米に軍事関連秘密協定があるはず」と質問され、実は連携がまともに考慮されてない空虚な計画だったと認めて策定に入ることにする下りなど、この分野に詳しい人なら常識かもしらんけど、なかなか。その他、ロ事件の最中のソ連機亡命の案件への対応などなどなかなか読み応えがある2014/05/12
金吾庄左ェ門
3
民主党政権時代に防衛大臣が素人大臣でを自称し失態を犯しましたが、自民党政権でもこのポストは伴食大臣扱い。そんなポストに派閥順送り人事で就任したのが坂田道太でしたが、就任した以上は素人だからと猛勉強を開始し日本の防衛政策に取り組みます。憲法を擁護する一方で、アメリカの核の傘に頼っている現実を認め、自衛隊ひいては国民による自主防衛の必要性の普及に努めます。また、どこかの総理のように「トラスト・ミー」などと言わず、日米安保の在り方についてアメリカ側と堂々と渡り合いもします。
わび
3
野田政権で素人でひどい大臣が続いたことを背景に、畑違いながら防衛庁長官として優れた成果を残した坂田道太を「素人」と「教育者的」という二つの視点から高く評価した評伝。論旨には概ね共感できるし、このようなマイナーな人物の評伝があることは嬉しいが、いくつか疑問点もある。著者は文学の教養や文部大臣経験と、講話等に見られる信念を結びつけて坂田が「教育者的」と論じるが、これはやや強引ではないだろうか。加えて、大臣の役割を強調するために防衛官僚の中長期的な動きは重視されない点も(防衛政策の転換点であるだけに)気になる。2019/07/05
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