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内容説明
日本軍というと、空疎な精神論ばかりを振り回したり、兵士たちを「玉砕」させた組織というイメージがあります。しかし日本軍=玉砕というイメージにとらわれると、なぜ戦争があれだけ長引いたのかという問いへの答えはむしろ見えづらくなってしまうおそれがあります。本書は、戦争のもう一方の当事者である米軍が軍内部で出していた広報誌を用いて、彼らが日本軍、そして日本人をどうとらえていたかを探ります。(講談社現代新書)
目次
第1章 「日本兵」とは何だろうか(日本兵の身体 戦士としての日本兵 銃剣術 日本兵の食)
第2章 日本兵の精神(日本兵の戦争観 日本兵と投降 日本兵の生命観)
第3章 戦争前半の日本軍に対する評価―ガダルカナル・ニューギニア・アッツ(開戦時・ガダルカナル島戦 ニューギニア戦 日本軍の防御戦法 アッツ島戦)
第4章 戦争後半の日本軍に対する評価―レイテから本土決戦まで(対米戦法の転換 フィリピン戦 硫黄島・沖縄戦)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
189
アメリカ軍が日本兵の分析を行った一冊。今の日本人にも思い当たることが多くドキッとする。おそらく今の日本人も万歳突撃を敢行しそうな気配を感じた。戦後もアメリカには日本との交渉事などでこのような分析が生きているような気がする。2014/04/28
えちぜんや よーた
116
「物資な豊富な米軍」VS「欠乏気味の日本軍」という図式で考えられがちの太平洋戦争。しかし意外と米軍も日本軍のミリメシ(戦闘糧食)を狙っていた。戦略的には豊富でも、戦術的には不足することがあったとのこと。またいかにメシの量そのものがたくさんあっても、戦地ではメニューがワンパターンになりがち。兵士が飽きないように、日本兵のカニ缶・サケ缶・マグロ缶などが、米軍のターゲットになっていたらしい。2014/06/26
AICHAN
58
図書館本。米軍報告書には日本軍の戦い方や日本兵の質について克明に記されている。それをもとにかつての日本陸軍とはどういう組織だったのか、日本兵とはどんな兵隊だったのかを追う。日本陸軍では暴力による服従を強いる伝統があった。日本兵は集団になると狂気じみて一糸乱れず挑んでくるが、将校がいなくなると蜘蛛の子を散らすようにバラバラになる。また将校がやられ自分で判断しなければならなくなると日本兵はパニックになる…。これらの組織、兵隊の様子は、敗戦から70年以上経った今でも日本人に見られる習性だと感じた。2019/02/10
skunk_c
37
アメリカ軍が将校や下士官に配布していた月刊情報誌にある日本軍や日本兵の戦い方の分析を通して、「向こう側」から日本軍を評価しようとした書。著者は敵国による文章の分割り引く必要を注意喚起しているが、その冷静な分析にまず驚く。「どうせアメリカ兵なんか精神的に弱い」といった日本軍の士気の鼓舞とは正反対で、きちんと敵を評価し、対応しようとする姿勢をみると、やはりこれは勝てないと思ってしまう。ただ、日本軍がバンザイ突撃と玉砕一辺倒でないことを解き明かしており、レッテル貼りでない評価の重要性を感じさせる良書だ。2019/01/14
ロッキーのパパ
34
旧日本軍に関する本はかなり読んできたけど、多くは戦略以上を扱った物だった。そのため、一般兵士に関しては、優れた兵士だったとする右派の主張と、国家/軍の犠牲者とする左派の主張ぐらいしか見てこなかった。米軍から観た日本兵士というこの本の視点は新鮮だった。ただ、この本の元になった報告書は米軍が兵士に対して日本兵に対する恐怖心を薄れさせるという目的で書かれている。そのため、この本も日本兵の一面を見せているに過ぎないんだな。もっと他の視点、例えば占領下の人たちが観た日本兵とかも読んでみたい。2014/06/28