内容説明
剣に生きる一族として、将軍家指南役となった柳生。連也斎、友矩、宗冬、十兵衛、新次郎、五郎右衛門。尋常でない修行による技、将軍家と関わることによって起こる惨憺たる一族の相克、死を見据えてなお剣の道に生きざるを得ない激烈な生きざまを、乾いた筆で描き切る。作者が生前に世に問うた唯一の短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ken_sakura
9
6つの短編集。佳品(^_^)柳生宗冬、柳生新次郎、柳生五郎右衛門の物語が好き。各短編の主人公は、兵庫助三男連也斎、宗矩次男友矩、宗矩三男宗冬、宗矩長男十兵衛、石舟斎長男新次郎(宗矩の兄)、石舟斎次男五郎右衛門(宗矩の兄)。2016/09/09
hirayama46
7
隆慶一郎の短編はあまり多くなく、存命中に出版されたのはこの一冊きりなのですね。やはりどちらかと言えば長編向きの資質ではあるかな、と思いつつも、短いなかに悲喜こもごもな感情を味わえる短編揃いで楽しめました。柳生一族を扱っているけれど、連作の趣向はそれほど強くないのが少し意外でした。2020/06/25
yomomo
4
江戸初期の柳生一族について理解が深まった。他の作品にも登場する人物なのでそれらの作品に深みを与える一冊。2023/05/28
ふ
3
ぼうらふの剣が個人的にはよかった 面白かったので吉原御免状に飛びます2017/01/18
うたまる
3
「二十七で死なねばならないのなら、せめて何か一つ、この世に遺してゆきたいと思います」(柳枝の剣)……将軍家指南役、柳生一族6名の連作集。薄い本だが恐ろしくボリュームを感じさせる本だった。同じ流派でありながら、1話40頁の中にそれぞれの性格、剣技、死生観を描き分けており、全員が時代劇の主役を張れる魅力を有している。また一つの歴史を主役毎に再構成しているため、芥川龍之介『藪の中』のような重層性も楽しめる。一番気に入ったのは柳生友矩。「黙って殺されねばならぬ場合もございましょう」他、達観した物言いに痺れた。2014/08/23




