文春文庫<br> たとへば君 - 四十年の恋歌

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文春文庫
たとへば君 - 四十年の恋歌

  • 著者名:河野裕子/永田和宏
  • 価格 ¥621(本体¥565)
  • 文藝春秋(2014/03発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167900175
  • NDC分類:911.167

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内容説明

乳癌で逝った妻、そのすべてを見届けた夫――2010年8月、乳癌のため64歳で亡くなった歌人の河野裕子さん。没後、歌集が異例の増刷を重ね、新聞でもたびたび特集が組まれるなどの反響が続いている。河野さんは夫の永田和宏さんと、出会いの頃から何百首もの相聞歌を作ってきた。大学での出会いから、結婚、子育て、発病、再発、そして死まで、先立つ妻と交わした愛の歌。「一日に何度も笑ふ笑ひ声と笑ひ顔を君に残すため」(河野裕子)遺された夫、和宏さんの巻末エッセイに涙が止まらない。

目次

第1章 はじめて聴きし日の君が血のおと―出会いから結婚、出産まで
第2章 たったこれだけの家族―若き日の父として母として
第3章 良妻であること何で悪かろか―アメリカ、みどりの家の窓から
第4章 あと何万日残っているだろう―多忙な日常の中で
第5章 わたしよりわたしの乳房をかなしみて―発病
第6章 君の妻として死ぬ―再発
終章 絶筆

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しいたけ

85
歌によって二人は出会う。河野裕子は病の影を残していた。永田和宏という存在が剥きだしだった自分に薄膜を張り生きやすくなったと述懐する。永田は寂しい子供時代を送っている。「全身をかけて愛されたことがない」ドーナツのように真ん中が空洞な人だと感じたという。恋をし結婚し、子を育む夫婦の四季。そこにはいつも痛いほど真っ直ぐ相手を見つめる恋心と、歌がある。そして河野の乳癌。闘病、再発、別れ。死の前日の最後の一歌。「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」夜空に上がり消えない花火のような恋だった。2016/06/23

KEI

46
歌人の河野裕子さんと永田和宏さんの出会いから河野さんとの死別までの40年間の軌跡の短歌と河野さんのエッセイが書かれている。お2人の何気ない日常やお互いを想う気持ちが短歌の形で歌われている。永田先生の挽歌や恋歌は何度か拝見したが、この様な編集のもとでお2人の来し方を知ることができて、最期の別れや挽歌に涙が出そうになった。タイトルとなった【たとえば君ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか】や【おほきな月浮かび出たり六畳に睡りて君ゐるそれのみで足る】。お2人の想いが伝わってくる。この企画に感動した2020/11/12

ゆうゆうpanda

46
『歌に私は泣くだらう』を読んでいたので、この四十年の恋の結末は心に刻まれていた。それだけに出会いから乳癌宣告までの歌が一層大事に感じられた。持て余すほどの長い足をした瞳の美しい青年。繊細で生意気な心を持て余していた華奢な少女をガサッと落葉すくうよにさらった恋。少女も二児の母となり逞しくなる。そんな変化さえも愛おしく思えた。癌は愛する人の働き過ぎを心配する余り、ストレスを溜めてしまったせいかな…愛の重さに体が耐えられなかったのかと不憫になった。命懸けの恋歌は出会いから25年の私達夫婦の道標となり得るか否か。2016/06/16

なるみ(旧Narumi)

37
歌集に普段縁があまりない読書生活ですが、斎藤孝先生の著書でおすすめされていたのをきっかけに読んでみました。「たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか」河野裕子さんの歌が鮮烈に印象に残りました。2020/06/10

なないろ花色(はないろ)世界はひとつ

35
まさに本日、読み終わりました。 刺さりました。  あえて、良く語るならば、「染(し)みた」となるのでしょうか。 ありふれたコトバでなら、「感激」とかでしょうか。 ・・・そんな定義を遥かにに超えて「衝撃」でした。 今はそうとしか、表現できません。 なので、読了後、まだまだこの血なまぐさい感じさえ自分から立ち上(のぼ)ってくるような、そんな感慨がホカホカ、の時に書きました。 日にちを置いたら、「しみた」になるのだろうか。 それも分らないほどに、あたしには衝撃がいま、もたらされています。 2016/10/21

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