内容説明
映画会社・松竹での助監督時代を経て、木下惠介氏と共にテレビドラマの世界へと進んだ山田太一氏。山田氏は、50年以上にわたってドラマ・舞台の脚本を書き続けてきましたが、事件や殺人などは基本的に扱わずに、家族や現代社会の有り様を鋭く温かく描ききっています。本書は、NHK BSプレミアムで放送された番組「100年インタビュー/山田太一」(2013年2月11日放送)の内容をもとに構成し、単行本化したものの電子書籍版です。「時代のたましい」を描き続けてきた山田氏が、脚本家人生を振り返りながら、ドラマ哲学とドラマの中の心に残るフレーズを紹介しています。全体は次の7章から構成されています。 第1章:映画人からテレビの世界へ 第2章:メッセージを伝える 第3章:家族を描く 第4章:プライドをもって胸を晴れ 第5章:古きよい日本を見直す 第6章:老いと向き合う 第7章:いま、テレビにできること。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひなきち
8
山田太一さんの言葉は、私の心の琴線に触れます。そして…魂のこもったセリフが詰まったドラマは、何度も私の感情を揺さぶる。ドキュメンタリーで描けない感情を、ドラマの主人公に反映させる、といいます。だからなのか、自分のことのように思えて、もどかしい気持ちを代弁してくれて、最後には泣きたい気持ちになるのです。こちらのインタビューも、最初の1ページですでに涙目でした。2016/03/13
Sumiyuki
1
グッとくる言葉が多い。さすが脚本家。著者のドラマを観たことがないので、観てみよう。ドキュメンタリーだと当事者に語らせるが、反発を招く場合がある。ドラマだと、他の人物に語らせることで無用な反発を防ぎ、また光の影も表現しやすい。光と影。中間点。老人のストーリー。@無限の可能性があるなんていうのは、まったく嘘ですよね。@人間というのは、やはりたまにはいいことをしたり、たまには嫉妬のために誰かの足を引っ張るような悪いことをしたり、もうびっちりといろんなことがあって、それでまるごと一人の人間なんだとぼくは思います。2018/06/06
えいとうっど
1
極めて個人的なお気に入り度合い:★★★☆☆3点 2013年に放送された『100年インタビュー』は観逃していた。【人は生まれたときからそれぞれ限界を抱えている】、こういう考え方に若い頃とても影響を受けたし、今もそう思って生きている。2018/04/15
Natsuhiko Shimanouchi
1
テレビ番組でのインタビューの書き起こし。山田さんの言葉は文字として読むことでより伝わることがある。「マイナスなことにずいぶん気持ちを育てられている」「幸福も絶望もそのままでいることはない」などなど。「男たちの旅路」も僕に大きな影響を与えたドラマだったんだなと思う。2016/03/22
まさやん80
0
NHKで放送された100年インタビューを元にした山田太一さんのインタビュー集。彼の名作「男たちの旅路」「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」「日本の面影」を書いた背景について語り、そして今現在のテーマである「老いを見つめる」ということについて語る。山田太一さんはテレビの黄金時代を支え、そして今も現役である。彼の変わらぬ姿勢は、時代を超越しているからこそ、その作品は今も古めかしさを微塵も感じさせない。最近は彼の作品がCSやBSで放送されているので、せっせと録画を進めている。老後の楽しみの一つである。2016/04/10