内容説明
亡き父の預り物を持って蓑太は富士をめざしていた。届け先は道場を経営するかたわら天然水の販売を手がける書家の彷尊。その途次、道場に囚われているという娘の救出を乞われる。正邪の定かならぬ男女、ゴミ山、毒、群発地震……木口木版画・美術家のイマジネーションが描き出す、黒く焼け出された人間の業と富嶽の断末魔。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ち~
15
空木蓑太は、亡き父に頼まれた物を届けるため、富士のふもとの三峰苑に向かう途中、野犬に襲われ気絶する。気がつくと、奇妙な香りと味がするラーメン屋に助けられ、店主に、三峰苑にいる娘、亜梨亜を連れ帰るよう頼まれる。富士山のようにそびえるゴミの山に住むナギを案内人に三峰苑に着くと、不気味な老人と、美少女・亜梨亜に出会う。老人に送り出された真夜中の富士山頂で簑太は登場人物達に隠された不思議な秘密や、下界での汚れた様々な陰謀に巻き込まれていく。現実と幻を行き来するような不思議な話だった。2015/12/23
yamakujira
5
亡夫に託された品を富士北麓に届けに行く蓑太は、途中で野犬に襲われる。助けてくれたラーメン店で働く3人の老婆、女性実業家の千鶴、巨大なゴミの山で生活するナギ、三峰苑を開いた書道家の彷尊、彷尊に育てられた少女咲耶、千鶴の娘の亜梨亜。ミレニアムグループと三峰苑の対立は、部外者の蓑太の登場をきっかけに均衡が崩れ、破滅へと向かっていく。なんとも妖しく混沌とした愛憎劇は不条理だらけなのに、欲望渦巻く現実社会の縮図に見えてしまう。ラストの噴火は文明のリセットを象徴するようで、怖いけれど爽快でもある。 (★★★☆☆)2017/01/03
ジン
1
亡父の預かり物を返すために三峰苑霊園の苑主にして書家の黒戸彷尊(ほうそん!)を訪ねる空木蓑太は、教祖のような彷尊と、大病院ゴルフ場火葬場を展開するミレニアムグループ会長の早月千鶴とのあいだで富士山麓に渦巻く因縁に巻き込まれる。構想10年と帯にあり、つまり9.11から3.11を貫く寓話的な小説。だが不可解。その血が生き物を殺す美少女、汚染された食べ物で育てられた屈強な巨体の男、動く人体模型、犬のゾンビ…。ゆっくり彫り込まれたような言葉が印象的。敵役ながら凸凹トリオ老女がコミカルで笑える。しかしわからない。2014/03/17
yasu_z2
0
中途半端な荒唐無稽さでどこからか面白くなるんだろうかと最後まで読んだけど私には時間のムダだった!2014/07/08
くふくふ
0
書評がきっかけで読了。美術家の作品とあって、富士山麓の描写に惹かれたり、ゴミ溜め詳細にうんざりしたり… でも、オーナーの娘の清らかさにホッとしたり。。富士山といえば、神聖で人が足を踏み入れてはいけないイメージがあった。富士をとりまく人々の業とあさましさが最後には天災(人災も?)で禊ぎ浄化されていく様子に引き込まれた。2014/04/29
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