内容説明
父の転勤で北九州の社宅へ引っ越して来た高見森(たかみしん)。同じ社宅に住む子どもたちと仲良くなるにつれ、彼らがある秘密を共有していることに気づく。そして「パック」と呼ばれる謎の少年には、ある役割があった――。理不尽な想いを抱える仲間を守り、仲間に守られながら生きる少年少女たちの、清々しく明るい物語。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
199
加納朋子さんは初読。経歴を見ると、推理小説作家のようだが、本書はあえて分類するなら、いわゆるヤング・アダルトということになろうか。もっとも、推理小説的な謎はちゃんとある。パックとあやの正体がそれである。いずれも、物語の後半で真相が明らかになるが、そこに本書の成立のカギがある。現実のリアリティという点では無理があるが、小説的には許容範囲だろう。また、物語の舞台は北九州に置かれており、文中の会話文も徹底してこの地方の方言だ。このことが小説に与える効果は実に絶大である。ことにあやのそれは魅力に富んでいる。2017/09/08
相田うえお
163
★★★☆☆17042 分類は児童書になるのかなぁ?小学生が読んだら面白くて堪らないと思います。小学生のお子さんがいらっしゃるご家庭の方には是非とも親子で読んでいただきたい作品です。一言でいえばワクワクする作品なのです。もちろん当方も楽しめました。ただ、注意点がひとつ!全体的に九州弁での会話のやり取りが含まれてますので九州弁がわからない部分も。。粗粗のあらあらすじは、主人公である東京っ子の小5男子高見森君は、父親の転勤で引越しした先の子供達と色々な事を体験して友について考えていくお話なのかな。2017/05/03
takaC
143
続きが気になる終り方じゃないか。解説の大矢博子さんによれば『七人の敵がいる』と同様にこの話も加納さんは続編構想を持っているらしい。要チェックだな。それはまだリリースされていないよね?2017/03/27
りゅう☆
102
東京から北九州に引っ越してきた森(シン)はやんちゃな男の子。同じ社宅に住むココちゃん、あや、竹本兄弟と仲良くなる。北九州育ちの私にとってこの子達の会話がめっちゃ笑える。「けぇけぇちゃっちゃ、うるせーよ」と言う森に思わずプッ。でもよく分からないのは方言だけでなくパックの存在、ぐるぐる猿の絵、図書室の暗号など。森の持ち前の好奇心と行動力がいいね。そして社宅のユーレイ作戦大成功!小さい頃に誘拐されそうになった理由、消えたあやの謎や佐藤君への誤解もちゃんと解けてよかった。冒険、友情、責任、謎。様々なことと出会い→2019/01/20
chiru
97
ミステリーランドシリーズの中で一番好き。男の子を誘拐犯から救った友達の「あや」は事件後、存在しないことが判明…というプロローグから一気に惹きこまれました。読み心地のよさは、悪戯や冒険好きな男の子の魅力のせいかも。子供が遭遇する秘密と不条理が、「あや」の謎とひとつに収斂される爽快感と切なさがすばらしいです。最大の謎って、見えないなにかでつながる『縁』かもしれない。他愛のないやりとりが楽しかった子供時代を追体験したような感覚です。あとがきを読んで、加納さんが大好きになりました! 北九州弁も可愛い。 ★52019/01/24