内容説明
デカルト、スピノザ、ホッブズ、ライプニッツ。この大哲学者たちには教科書ではとうていわからないアブなさと魅力がある。2+3=5なのは、神がそうしたからであって、2+3=6の世界だって神は創造できるのだ、と、デカルトは本気で考えた。この世の現実はぜーんぶ神でできている、とスピノザはいう。何かを行為したら、後からそのつもり(意志)はなかったとは言わせない、というのがホッブズの国家論。神と国家の哲学とは。
目次
第1部 デカルト(確実性に取り憑かれて 不可能に出会うこと ほか)
第2部 スピノザ(光がそれ自身と闇とを顕わすように 「現実」を作ってみる ほか)
第3部 ホッブズ(国家論へ―ホッブズとスピノザ 哲学はシミュレーション ほか)
第4部 ライプニッツ(ライプニッツ、あるいは世界の修復 スピノザの崖っぷちから引き返す ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
36
『哲学史入門Ⅱ』に啓発されて再読してみた。全く同じデカルト、スピノザ、ホッブス、ライプニッツを論じている。一般の読者に開かれた文章ではあるが、どことなく表面に膜の掛かった迂遠な表現が多く、読み辛い印象が一層残った。もし未読で本書に期待している読者がいたら、『哲学史入門Ⅱ』が明快であり、これ以上は他の本に移った方が良いと伝えたい。2024/06/09
非日常口
20
ドイツ30年戦争からウェストファリア条約により国民国家が誕生し近代は成立した。その時代にいたデカルト(確実性と不可能性)、スピノザ(必然性:現実=自然=エチカ)、ホッブス(取り消し不可能性、Jusを自然法/自然権に分ける)の思考はどうやら存在の大いなる連鎖を切断する方へ向かったようだ。そうしてバラバラになったつながりをライプニッツは多重パースペクティブでモナドによって再構成させる。個人的には現象のまっただ中にいるモナドはプラネタリウムというより世界劇場な印象も受ける。2014/09/21
kthyk
14
あとがきに本書は月刊「本」の巻頭に一年間連載したものをもととしているとあり、なるほど馴染みやすいデカルト、スピノザ、ホッブス、ライプニッツ解説の良書。序章に17世紀は世界の底が抜けてしまった時代とある。それは神話と宗教に支えられていた「黄金時代」から哲学と科学による「人間時代」への変容。近世・近代建築の読解の際の得心でもある。しかし、物理科学が量子跳躍へ変容した現代、形而上学的オブジェクトの解体後の建築に何が可能かが小生のテーマでもあり、終始詳細が気になり読み進めた。そして、関心はライプニッツに集中した。2024/11/14
ころこ
13
バロック期の哲学者4人を取り上げたエッセイです。4章立てになっており、デカルト、スピノザ、ホッブス、ライプニッツに各章を充てています。エッセイと言っても、各哲学者のステレオタイプの印象を解体させるために工夫しており、読み易くはありません。各章に跨いで、例えばデカルトとスピノザを比べたり、スピノザとホッブスを比べたり、ライプニッツとデカルトを比べたりしています。特にホッブスの社会契約論は、物体論、人間論の射程に国家論としての社会契約論があるということで、先々「リヴァイアサン」を読む際の示唆を受けました。2017/11/20
hakootoko
6
最高に勉強になる。最高に面白い。これのあと『カントからヘーゲルへ』を読んで思ったのは本書はそれのオマージュ?なんというか、両書ともに最終章に入るとエモくなるように書いてある。ライプニッツはエモい。19世紀版でねえかな。2021/11/17