内容説明
「日本を取り戻す!」デフレに疲れた国民の若返り願望にすり寄った、安倍首相の大号令。はたして「永遠の若さ」など手に入るのか、そもそもそれは本当に必要なのか――。「老いは楽し」の境地こそ、日本がこれから目指すべき姿だ! 国境なき時代に振り回されることなく、豊かに生き抜くための、本当の「国家の知恵」がここにある。
目次
序章 鏡の中の自分がみえない―いつわりの自画像に翻弄される人々
第1章 国々の憂鬱―国境無き時代をどう生き抜くか
第2章 国民国家は誰のもの?
第3章 あなたは何国家?―欧州にみる国々の様々な独自スタイル
第4章 小国たちの度胸と愛嬌
第5章 老楽国家の姿と形
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
17
今の日本に「取り戻す」べきものなどない(33頁)。 このことばは、安倍首相のスローガンに対してである。 しかし、取り戻すものとしてあるならば、 3・11被災者の日常は取り戻す必要がある。 さらには、健康も。 ざっくりいえば、GDPはどこで、GNPはだれが、の概念(50頁)。 アベノミクスの中身をよく見ないといけない。 世界で勝つ発想では、世界と共存できないし、 出稼ぎもできないだろう、と(73頁)。 2014/04/08
ラーメン小池
5
国家は歴史の中で最も輝かしい時代を目標に、現実を顧みず無理な経済成長を目指すといった習性が安倍政権に限らずみられるとのこと。これを人間にあてはめてみると、年をとって無理にアンチエイジングに励んだり、若い人にムキになって対抗したり見栄を張るようなことかもしれない(笑)。本書を読んで、国家も人も、過去の成功体験や栄光に執着することなく、潔く切り捨てる勇気が必要ではないか、と感じた。そして国家も人も周りとうまくやっていかねば生きていけない。筆者の説く「度胸と愛嬌」が国家にも人にも必要なのだと思う。2015/02/08
Humbaba
4
何を持って幸せとするのか。それが明確でなければ、自分たちが進むべき方向というのは定まってくれない。これを正しく定めるのは難しいことであり、絶対の正解というのは存在しないのかもしれない。しかし、自分にとってはこれが正解である、というものを定めなければ、いつまでも評価軸を定めることができないだろう。2014/01/15
nizimasu
4
日本も欧米も同じ病に苛まれていると著者はいう。「のぞみの鏡」というハリーポッターに出てくる鏡を紹介する。自分たちのなりたい姿を映し出す鏡。それこそがかつての先進国が追い求める成長の姿だと告発する。だが実態は、日本も含め成熟国家には、これまでと違う国家観が求められる。グローバルという時代を通して、欧州のルクセンブルクやベルギー、スイスといった他人の褌て生きる国家のありように、日本の未来像も重ねる。そして個はどうあるべきか。それは読者にゆだねている2013/12/08
hisakodosu
3
文珍さんの老楽風呂を聞かなくては。ラザロの例えは心しなくては。2014/06/17