内容説明
そもそも人間にとって、動くものの速度や距離の見積もりは苦手である。その上、心理や生理、環境によっても対応が違ってくる。だから、車の安全性能は年々進歩しても、ドライバーは相変わらずあれこれ間違え続ける。初心者とベテランの視線の違い、加齢によるミスマッチ、個人差のあるリスク敢行性――どうすればヒューマンエラーを防ぎ、安全レベルの高い運転ができるのか、交通心理学の知見をもとに徹底解説。
目次
1 自分の感覚は疑わしい
2 避けられるはずの事故要因
3 自分はどんなタイプの運転者か
4 変わり続ける運転環境への対処法
5 危険な場所での心理特性
6 歩行者事故を防ぐための基礎知識
7 車の構造がもたらすエラー
8 カー・コミュニケーションとマナー
9 運転中の認知能力を向上させる方法
10 ヒューマンエラーと交通心理学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かるかん
28
いかにして交通事故が起きるのかということを実例を交えて説明しており,事故が起きる時の精神状態や性格,場面を解説している. まわりを見渡せば滅茶苦茶な運転をしている人をよく見かけるし,そういった車には特に注意して注視して近づかないようにはしている. しかし,自分自身にも気をつけるべき面が複数あるに違いないので,もう一度初心に返った運転しなくてはならない. ところで,避けられない事故よりも少し想像したらわかるような事故が多いと感じられる. 一人一人が意識すればかなり減少すると思うのだが・・・・・・2015/04/22
かっちゃん
16
運転職に身を置くものとして、またドライバーを指導育成する立場にある私にとってとても勉強になる一冊。願わくは運転をするすべての人に読んでほしい。 これからも交通事故を無くせるようあらためて日々精進したい。2015/01/09
ようはん
15
40歳を越えた辺りから反応が少しずつ鈍り始めて事故の危険性が高まるとか将来に備えた危機感は持たなければ。定期的にはこういう車の安全に関する知識は得た方が良いと感じた。2020/09/20
シロうさぎ
15
車の交通事故の事例と、多角的な解析が述べられている。心理的な側面の掘り下げがもう少し欲しかった所ですね。教習所や、会社の安全管理者を担当しておられる方は、何かの話ネタになるかもって感じでした。 2014/10/18
警蓮社峻譽身阿
13
交通事故を科学する。国内の交通事故死者は1970年に16,765人をピークに減少しているが、事故数は車両台数・運転免許保持者数と共に増加している。自動車メーカーは1970年代以後安全性を高める努力をしてきたことが奏功してた。直近では安全装置や走行補助機能、自動運転機能の開発が盛んだが、ヒューマンエラーの根絶は容易ではない。人間工学、交通心理学、交通工学などを駆使して交通事故を科学的に分析して日進月歩している。読んでいくうちに、普段の運転の何気ない行動のリスクを再評価し、如何に危険かを反省する。2021/08/04