内容説明
シャンゼリゼ、ブローニュの森、アパルトマン。資本主義の発達と共に娼婦たちが街を闊歩しはじめた。あらゆる階層の男と関わり、社会の縮図を織りなす私娼の世界。19世紀のパリを彩った欲望の文化に迫る。
目次
売春と資本主義
愛の共同幻想体としてのブラスリ
メゾン・ド・ランデヴーと人妻
なぜ、売春をしてはいけないのか
歩き回る私娼たち(グラン・ブールヴァール)
盛り場と私娼(パレ・ロワイヤル)
私娼たちの聖地(パサージュ)
ハンカチ屋と娼婦
日本人が探訪した魑魅魍魎の世界
日本男性の欧米歓楽街案内〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
44
読書メーター使ってなければ出会わない本。ご紹介に感謝です。なるほど勉強になりました。ジェンダー平等化が進むと売買春ってどうなっていくのかな。例えば女性閣僚が珍しく無くなっている国の現在を知りたいもの。2020/09/23
ころこ
41
パリの娼婦を題材にした2冊の単行本から、文学と社会学に分類して再構成した文庫の2冊目。テーマが娼婦であり、しかも昔の外国の話ということで忌避感は高く、あまり売れないことは想像に難くないが、読んでみると非常に興味深い。娼婦が興味深いのではなく、娼婦という存在が我々の日常に覆い隠されているもの、学問や思想と呼ばれている高尚なものからこそ誤魔化されているものを考察の対象としている。デパートがモノの必要から、デパートに行ってはじめて欲しいものが見つかるというのはボードリヤールの議論だが、パリの私娼制度は人間の必要2025/06/28
007 kazu
34
19世紀から20世紀にかけてのパリの娼婦についての考察。デパートの登場を象徴に贅沢品が増え、物欲が刺激される時代に女性が稼げる手段は限られていたという資本主義の発展と当時の女性の在り方とを結びてつけて解説する掴みは興味深い。その後、当時のビジネスモデルや私娼の実態を描くが、ゾラ等の小説の「解説」に大分依っており、解説本を読んでいるような気に。文章も軽妙だし、ヒモの解説、高級娼婦とそれ以外を分けるものの分析、現代のメイド喫茶を引用した類似性等大変面白いのだがテーマとしての一貫性は弱かったように思う。(続く)2021/08/13
中年サラリーマン
18
面白い。資本主義の発展による娼婦の売り手市場から買い手市場への変化とそれによるプロ好みから素人好みへの変化、ヒモのつらさ、娼婦の家計簿、下級娼婦から高級娼婦へののぼりつめかた、昭和初期の日本人の豪遊とその記録、客をとるシステムのメールサーバーへの類似など色々盛り込んである。よくこんなに調べたなと。2014/04/06
ネムル
16
公娼の登録を逃れてパリの街を闊歩する街娼・私娼を扱った本書の方が、都市と社会の発展に繋がるところが多く、文化論的に面白いかもしれない。オスマンのパリ大改造で田舎から上京してきたウブい男と女がプロフェッショナルな娼館に怖気づいたところから、素人系や人妻系の娼婦が始まったとか笑っちまったよ。パサージュ、ブローニュの森、アパルトマンの飾り窓を使い客引きをする、私娼のあの手この手もたくましい。2013/11/13
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