内容説明
ロサンゼルス地区検視局は不審死体の死因を特定するだけでなく犯人像を推理し、捜査まで行う。この警察権力を凌ぐ組織のトップに就いた唯一の日本人、トーマス野口。ハリウッドスター、人気シンガー、有名政治家──数々の著名人の検死解剖を手掛けた彼の足跡を追いながら、それぞれの死の裏側で展開された壮絶なドラマに迫る!
目次
第1章 検視官・トーマス野口
第2章 マリリン・モンロー怪死の深層
第3章 サムライ、海を渡る
第4章 ケネディを撃ったのは誰だ?
第5章 殺人鬼の犠牲になったシャロン・テート
第6章 大スターを襲ったアルコールの恐怖
第7章 新たなる挑戦と日本への想い
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
35
嫌われることを恐るな。我武者羅。氏を思う時こんな言葉が脳裏に浮かぶ。晩年の回想録と軽い気持ちで手に取ったらこれがよかった。野口氏の人となりを知るためには先の「Dr.検視官」とセットで読むべき。特に妻尚子氏について。2025/03/19
タミイ
12
ハリウッドセレブの変死や検視関連本で、伝説のLA検視局長トーマス野口の名は知っていたが、25歳で初渡米した生粋日本人とは知らなかった!戦後間もなく言葉もろくに通じない米白人社会に飛び込み、優秀な頭脳と強靭な精神、高い目的意識と超人的努力で検視局のトップに上り詰め、著名人の解剖を数多く手掛けた野口氏の生き様はスゴイの一言!日本人として誇りと感動を覚える。逆境から笑顔で立ち上がる不屈の精神、マイノリティゆえの気負いや検視医としての優秀さから激しい人種差別と圧力を受け続けた波乱の人生。著者の客観的な視点も良い。2017/07/18
澤水月
10
C・マンソンは大体知ってるつもりでいたが六本木ヒルズのロゴデザイナーが「マンソン」てフォント作成、怒られ「メーソン」に変更してたとは知らなんだ! ジャニスの死因が「10倍増しヘロイン」で同じ売人から買ってジャニス死の同日8人死んでたことも。ケネディ弟、マリリン・モンローの検視解剖で名を馳せたトーマス野口、日本人であるとは知らず率直に驚いた。60年代には明らかな人種差別による罷免騒動を受け完全と立ち向かい検視局長、後にはシナトラ発の抗議(死んだ著名人のプライバシーを守れ)から大騒動、波乱の人生はまだ続く2013/12/22
向う岸
8
夏休み自由研究その3、社会科。日本人ながらアメリカでロサンゼルス地区の検視局長にまで上り詰め、マリリン・モンロー、ロバート・ケネディ、ハワード・ヒューズなどの検視に関わった、トーマス野口の歩みを辿る。持ち前のバイタリティと緻密なリサーチ能力で出世していく野口だが、当時の白人社会では様々な差別や妨害を受ける。一度は勝利するものの、最終的には検視局長を座を追われてしまう。日本人として負けまいとする態度に傲慢さがにじみ出てしまったり、マイノリティ故にアンタッチャブルな存在として敬遠された不幸もあった。2014/08/08
barabara
5
扇情的な有名人の死をスキャンダラスに扱っていると思いながら手にとったら…とんでもない!日本に生まれ育ち、意志固く渡米、実力を持ってして警察権力をも凌ぐアメリカ検視局トップに君臨したある日本人の非常に真面目な一代記であった。差別も跳ね除ける当代随一の実力、有名人を扱う毎に高まる名声と僻み、白人社会で君臨する苦労、どれを持ってしても同じ日本人として誇り、悔しみを覚える名著だ。2013/11/08