内容説明
児童文学のノーベル賞にあたる、国際アンデルセン賞作家賞受賞! 本編では明かされなかった空白の11年間にはこんな時が流れていた! 王国の行く末を左右しかねない、政治的な運命を背負っていたエリンは、苛酷な日々を、ひとりの女性として、母親として、いかに生きていたのか。時の過ぎ行く速さ、人生の儚さを知る大人たちの恋情、そして、一日一日を惜しむように暮らしていた彼女らの日々の体温が伝わってくる物語集。単行本未収録の書き下ろし短編「綿毛」も収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いーたん
206
大切に読みました。 本編も大人向けの印象があったけど、これはなるほど。子供には難しいかもしれない。作者のあとがきにもあったが、人生の半ばを過ぎた大人が読むべきなんだろうなと。 まだ30過ぎの自分はもっと歳を重ねてから再読したいと思いました。2013/12/22
fukumasagami
161
「…生き物は誕生を選べないわ。どんな生き物も、生まれ落ちた場所で生きていくしかない」頬を離し、エリンはささやいた。「ーあなたは、自分の生に、後悔しかないの…?」窓から射しこんでいる、ぼんやりとした外明かりが、その目をきらめかせていた。その顔が、つっとゆがんだ。「…あなたは、人生をあきらめてしまうの?」頬を涙が伝って落ちた。2015/01/30
やっちん
158
恋愛要素多めの外伝と聞いてたので躊躇してたのですが、やっと手に取り読んでみました。読んだ感想は「もっと早く読んどきゃよかった」につきます。私、恋愛物は苦手(チャラチャラした感じのやつ)なのですが、この外伝は、生々しく愛情や生きる事、かけがえのないものを伝えてくれます。読んでて胸にグッときました。素晴らしい。イアル視点の「刹那」も新鮮でしたし、個人的に本編で助演女優賞であるエサル主人公の「秘め事」も大変楽しめました。後書きにも上橋さんが書いていたが"外伝"であるべき物語、まさに「生命讃歌」の本と感じた。2016/06/03
ま~くん
135
「はぁ、終わった」。ラスト1行はほっこりした。物語の世界観をプラスアルファで堪能させてくれたことに感謝。エリンが赤ちゃん当時の母の苦悩、神速のイアルと呼ばれるほど敵から恐れられてきた兵士とエリンの恋、エリンの理解者エサルの秘められた恋愛模様、ジェシの幼少期。本編4巻では触れられなかったエピソードが描かれる。エサルに関する章が一番長かった。この女性の一途さ、頑固さ、そして可愛らしさはエリンとよく似ている。イアルが激流から愛するエリンを助けるシーンは胸熱。イアルは恐らく作者のタイプなんだろうな。物語に拍手。2022/11/19
ミュポトワ@猫mode
133
獣の奏者 外伝読了しました。獣の奏者読み始めて最後まで読みきってしまった。もっと時間をかければよかったのかなぁと思いつつ、俺の心の成長のスピードを一致させるのは至難の技なので今が初読としては良かったのだと納得をさせています。いずれもう一回読もう。外伝を読んでいて、1巻に戻って確認したときに、この頃のエリンは可愛かったなって思ってしまった。俺は子供はいないけど、いたらまた変わるんだろうなぁと甥っ子のことを思い出したりしてた。うん、やっぱり何度か読み返すと心への浸透っぷりが変わるんだろうなって思います。2020/10/04