内容説明
親の事業が失敗し、マスコミに叩かれ、学校にも行けなくなった葛葉紅葉、十七歳。世界中を敵に回した女子高生に、悪魔が契約を持ちかける。その条件とは命を捧げること――ではなく、そいつの「100の質問」に答えることだった……。追い詰められた少女と、尻尾の掴めない男が出逢うときに生まれる、奇妙で不思議な対話の先に待つものは……?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむー
18
小説の形をとってはいるものの、最初から最後まで明確な答えを出さない問答というかある意味哲学というか禅問答のようですね。『よくできました』。全編とおしてみえるものは「普通」とか「あたりまえ」であることへの疑問…って実は洗練された中二病なだけなのか?まぁ終始実態がつかめないながらも面白く読めるところは大したもので、ここちよいはぐらかされ方に満足できる作品でした。2013/12/15
KASAO
16
とある事情から神出鬼没の悪魔めいた人物「シャーマン・シンプルハート」とお喋りして、その質問に応えることになった少女「葛葉紅葉」の受難と問答を描いた物語。100の問答とあるけど、結構質問がスルーされているし、答えが全くと言って良いほど出ない。ただ、社会や国や神や悪魔、自分の周囲にある常識のほとんどは誰かが言っていることを鵜呑みにして僕たちは信じているということには共感できた。悪く言ってしまうけど、個人的にはそれ以上のものが欲しかった。2013/12/29
にゃんころ
15
100の問答と銘打ってますが、啓発本みたいにはっきり100のQ&Aが明確になっている訳ではありません(笑) 冒頭と終章ではっきり書かれている通り、ほぼ質問投げっぱなしで終わるので、何らかの解答を期待してたりするとモヤモヤするかも? それっぽい問答にはなってますが、あくまで小説として読むべきでしょう。ハズレ君とクズっちのやり取り、その周囲の動き、関わってくる人達や組織etc.etc.. この形式では無理でしょうけど、別視点からのスピンオフとかあると面白いかも。2016/02/20
深青
8
ハズレ君の考え方は、一理ある。だけど「普通」とか「一緒」が尊重される世の中で、あの考え方を披露してたら生きにくいかもと思ってしまった。だからと言って…一般論に埋没してしまうのも面白くないけど。禅問答のような会話に見せかけて、背景ではしっかりお話が進んでいく。紅葉がコードを伝って、船の奥へと進んでいく辺りが一番好きです。2013/10/27
Te Quitor
6
悪魔の人形ハズレ君と少女クズっちの会話劇。一般とは隔離されたような100の問い掛けが出てくる。しかし結局煙に巻かれたような答えが続く。さて。「どうしてだ?」問われて自分はきちっと答えられるだろうか。自らの解釈をこじ付けて言葉にしていければ良いのだろうが。難しいな。2015/11/14