内容説明
安倍政権へ緊急提言、
これが「国のかたち」の作り方だ!
安全保障問題から憲法改正問題まで。現政権が提唱する方向は、はたして保守本流か否かという議論が沸き起こる。今ほど保守のありかたが問われている時はないだろう。では、真の保守精神は危機の時代にどう対峙するべきか?十九世紀イギリスの“天才”保守主義者コールリッジの思索を導きに、経済、金融から財政、教育にいたる「国のかたち」の作り方を明快に説く。ステレオタイプな保守像を覆す待望の著!
■目次
序章 迷走する「保守」
第1章 財政―なぜ保守は積極財政を支持するのか
第2章 金融―「過剰な営利精神」を抑制せよ
第3章 社会―「改革」はどのように行うべきか
第4章 科学―保守が描いた「知の方法論」
第5章 国家―保守のナショナリズムとは何か
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
17
新刊棚。要点はゴシック太字で明確。章末注形式。保守は、現実は変化することを認め、理論や政策は現実変化に応じて変わるという可変性を認める(25頁)。コールリッジの経済論は知らなかった。社会経済学的なヴィジョンを提示していた(123頁)。保守は道徳を重んじ、過剰や極端を嫌い、安定社会を好むという(124頁)。評者は半分あたっているが、異端派だから極端な存在と自覚した。旧救貧法としてのスピーナムランド法も知らなかった(137頁~)。バークシャー地判判事がパン価格に応じて賃金扶助を最低所得として保証(138頁)。2013/10/30
さきん
13
コールリッジは知らなかった。勉強になった。2016/02/15
大先生
11
良書。真の保守が如何なるものか、新自由主義の問題点などがよく分かります。やはり何事もバランスなんですね。そして、新自由主義と結託した自民党は、もはや保守政党ではないと(岸田さんは、脱新自由主義を目指しているように思われますが…果たしてどうなることやら)。新自由主義では道徳が失われ「営利精神の過剰」が生じてしまう。要するに儲かることが正義になってしまう。カネ、カネ、といって文化を軽視する国は衰退すると。2023/05/19
とうゆ
9
保守とは何だろうか。それは一言では言い表せない思想である。何故なら自由主義や社会主義のようにある一般原理を全てとする合理主義的な物ではないからである。しかしあえて言うとすれば、脈々と受け継がれてきた国家という伝統を基準として社会が様々な思想や階級などのうちどこか一方向に過剰に傾くことを防ぎ、バランスを取ることを目指す思想である。2013/12/25
日の光と暁の藍
7
本書は、1800年前後にイギリスで活躍したコールリッジの思想に焦点を当てる。詩人や哲学者として知られるコールリッジ。中野剛志氏は、経済学者、保守主義者としてのコールリッジを本書で明らかにしている。コールリッジらによって200年前のイギリスで論じられた財政論や貨幣論。それらが現在にも悉く通用することに驚く。財政の健全化ではなく、経済の健全化を見る機能的財政論は今すぐに日本で取り入れてもらいたい。金融と社会、失業と教育、宗教と科学の関係、そしてあるべき国家像までが本書で語られている。実に素晴らしい内容だった。2020/08/15