内容説明
「型の芸術」といわれる歌舞伎。鬘(かつら)、衣裳、台本、せりふほか、「型」は役を大きく変える。歌舞伎評論の泰斗が、型の成り立ちと変遷、役者ごとの演技を探求。歌舞伎鑑賞のコツは型にあり!
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
目次
「陣屋」の熊谷
「御殿」の政岡
「十種香」の八重垣姫
「五・六段目」の勘平
「寺子屋」の松王丸
「千本桜」のいがみの権太
「合邦」の玉手御前
「鎌倉三代記」の高綱
「御殿」の〓(ふか)七とお三輪
「髪結新三」の新三
「野崎村」のお光
「吉田屋」の伊左衛門
「油屋」の福岡貢
「九段目」の戸無瀬
「平家女護島」の俊寛
「鎌倉三代記」の時姫
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
26
家によって型が違い、その役の解釈も大きく異なってくるということが事細かに例を挙げて書かれており、資料的な価値も高い。歌舞伎とは口伝と所作を間近で見て覚える稽古が基本であろうから、その伝承の部分がいかに大きいか、時代によってどう変わってきたのかがわかりとても興味深く拝読できた。2014/08/20
takao
0
DVDでみたい。2017/07/16
絶間之助
0
冒頭、歌舞伎の究極の面白さは「型」にある、と始まります。まるで歌舞伎は固まった型でできている、という話かと思いますが、そうではない。先人の残した所作、台詞回し、舞台装置、性根の持ち方には各役者の個性があり、工夫がある。これを記録に残し、今後に活かすべき、ということでしょうか。 学術的な本なのでしょうけれど、私には、役者の個性、考え方や演出の違いが面白いなあと思いました。 最近、仁左衛門のすし屋の権太を見て、松緑や菊五郎と全く違った演出ですが、人情味があり面白かった。これを思い浮かべながら読んでいました。2013/11/13