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内容説明
帝国・唐の重臣閣僚となった阿倍仲麻呂。その非凡な才は新生国家としての日本を体現する知そのものだった──。仲麻呂の生涯を貫く夢と、ただ一首だけ残された歌「天の原」の謎を、日唐交流史を背景に鮮やかに描く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
no.ma
14
阿倍仲麻呂は科挙に合格し玄宗皇帝のお気に入りで容姿端麗、王維と李白のマブダチ。望郷の念を抱きながら日本に帰国できなかった悲劇のヒーロー。新聞の連載小説で気になったので本書を手に取ったのだけど、こんなに凄い人物だったとは。有名な「天の原ふりさけ見れば…」は謎が多く、仲麻呂のものではないという説もある。でもそこがまた興味深い。盛唐と天平時代の日本は、詩歌こそ君臣の心を一つにするものだとする君臣和楽の思想の政治理念で結ばれていた。そんな時代もあったのだ。2021/09/11
鯖
14
遣唐使として海を渡り、勉学を極めて科挙に受かり、帰りたくても帰れず、 新唐で亡くなった阿倍仲麻呂の生涯を平易な文章でつづる。著者がもつ授業でアンケを取ったところ「天の原ふりさけみれば…」の歌を118人中、実に111人がそらで書けたのだそう。この歌の魅力は誰もが、この歌に自分の物語を見いだすことができるからではないかと著者は言う。かつて小田和正の「あの日あの時あの場所で…」の歌が大ヒットしたのは、誰もが自分の歌としてあの曲を聴けるからだといわれてたのをふと思い出した。2015/10/17
kiho
7
中国の唐に渡り、人生を切り開いた阿部仲麻呂☆日本に帰れずとも日本のことを常に思っていたことが伺える。2014/08/13
coldsurgeon
5
大宝律令が作られ、国家として歩み始めたころの日本から唐に渡った阿倍仲麻呂。科挙に合格し、高位高官に登り、帰国の思いを抱きながら、亡くなったレジェンド。稀有の昇進を遂げた非凡な才と、新生国家としての日本と、律令精神を体現する知そのものであった。仲麻呂の有名な歌「天の原…」の解釈の仕方は、とても面白い。2014/03/18
はちめ
2
資料に基づき、判らないことは判らないとはっきり述べられているのが好感。著者があまり想像を交えていないので、読者には逆に想像が膨らむ。2013/10/22