岩波新書<br> 小林一茶 - 時代を詠んだ俳諧師

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岩波新書
小林一茶 - 時代を詠んだ俳諧師

  • 著者名:青木美智男
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 岩波書店(2013/12発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004314462

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内容説明

夏の暑さに豊作を願い,打ちこわし騒動に心を寄せ,大黒屋光太夫の帰国に反応し,「君が代」や「神国」日本を詠む.市井の営みを見つめた一茶の句からは,外国船の出現に動揺し,国学に沸く激動の文化・文政年間を生きる人びとの姿が浮かび上がる.「幕末維新を準備した」と言われるその時代を,一茶の句から近世史家が読み解く.

目次

目  次
   はじめに

 1 時代を詠んだ俳諧師
   一茶句碑第一号/一茶調/慈愛に満ちた一茶像は近代から/終生変わらぬ農民への畏敬/一茶の理想/目線は江戸の下層民にも/逆境が育む珠玉の句
 2 学びの時代
   「下〓〓の下国」に生まれる/北国街道柏原宿/子どもは貴重な労働力/親は江戸へ冬季稼ぎ/せめてイロハだけでも/少年期一茶の文化状況/柏原宿の俳諧
 3 江戸の場末の裏長屋
   俳諧師一茶/裏店での暮らし/裏長屋の世界/身につまされる信州人の江戸奉公
 4 四国・九州・中国・上方へ
   西国へ向かう/漂泊の旅/長崎で見た異国色/自立する一茶/話し言葉の衝撃/江戸の一茶へ
 5 国学の隆盛と世直し願望
   俳諧情報の収集/国学思想への傾倒/自国観の形成/日本・君が代/世は末世/世直し願望の表出/養蚕・製糸業と「買食の者」の増大
 6 北方への関心、差別への眼差し
   蝦夷地への関心/差別への眼差し/反骨と滑稽と
 7 老いの生と性
   信州の一茶へ/荒凡夫一茶/姥捨て伝説/生と性への執念
   おわりに
   一茶発句索引
   年表
   参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

i-miya

31
2013.10.20(読んだわけではありません、2013.10.20日経新聞読書、書評欄から) (評者=小林恭二、作家) (著者=青木美智男、1936生まれ、歴史学者、2013没)  (見出=俳諧を通して時代を見る) 俳人小林一茶を生んだ文化文政時代、現代日本文化の雛形となる文化芸術の花開いた時代。 俳諧も面目一新、詩としての表現領域、飛躍的な拡大。 芭蕉、蕪村までの俳諧=研ぎ澄まされた美意識、披露。 一茶ら=何気ない生活風景、下層民の哀感、大胆な自己表現、社会批評。  2013/10/20

壱萬弐仟縁

22
メモ魔一茶(ⅰ頁)。俳人もアイディアは湧き出たらすぐに、記録しておく癖がついていたということ。現代では音声ならICレコーダーでもいいが、記録はとっておきたい。終生変わらぬ農民への畏敬(13頁~)。田植えの苦痛を緩和するため、女性の背後で、男衆が囃し、踊り、女も歌った。まさしく、田んぼの中の男女共同参画社会なのだった。一茶はもの凄い読書家でもあった(102頁)。彼はまた、大道芸人など社会の艱難に喘ぐ弱者たちの暮らしぶりも他人事とは思えなかったという(144頁)。ヒューマニスト。むさしのは不二と鰹に夜が明ぬ」2014/02/21

えも

17
一茶と言えば「やせ蛙…」や「雀の子…」など有名な句しか知らず、弱者に対し慈愛に満ちた眼差しを向けるお爺さんのイメージだったため、貧乏の中、世俗に生き、世俗の言葉で生涯二万以上の句を残した事実に驚きです。2014/01/27

たくのみ

16
馬、雀、やせ蛙…小動物に心を寄せる、ほのぼのとした俳句の達人だから和やかな性格、と思ったらとんでもない、強欲な遺産争い、22歳もの年の差婚、子供が4人、でも妻も子も早逝、貧困と失意の中で国粋主義にかぶれたり、打ちこわしに心痛めたり、ロシアからの帰国者の話を聞いたり…揺らぐ幕藩体制のなか、ぶれまくる一茶。2万句をこえる作品群の、さまざまな顔を知った時、「おらが春」の軽さがもつ「重み」が見えてくる。2013/11/01

しょうゆ

6
小林一茶といえば、蛙や雀などの小さな命に目を向け、素朴な庶民目線の俳句を作った人というイメージだったが、本書を読んでその人物像は崩れた。継母との折り合いが悪く奉公に出たり、財産相続でもめたり色々と苦労が多かったようだ。多作でメモ魔というのにも驚いた。(でも性交の回数はメモらなくてもいいと思う…。)あとは割と外国文化に対してマウント取りたがったり、日本万歳系の作品も多くて意外だった。2019/05/05

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