内容説明
犯罪を未然に防ぐには、いつどこで起きるか予測できればいい。それを可能にするのが「景色解読力」――注目すべきは、いかにも怪しい「不審者」ではなく、見慣れた「景色」なのだ。犯罪科学のエキスパートが最新の知見をもとに、実践的な防犯ノウハウを伝授。「街灯は犯罪者を呼び寄せる」「『いつも気をつけて』は無理な注文」「監視カメラは『だまし』に弱い」等、意表をつく指摘を通じて犯罪のメカニズムを解明する。
目次
1 防犯常識のウソ(事件の九割は未解決 「地域安全マップ」は偽物ばかり 防犯ブザーは鳴らせない 住民パトロールは弱点を突かれる 街灯は犯罪者を呼び寄せる 監視カメラに死角あり 「いつも気をつけて」は無理な注文 「人通りの多い道は安全」ではない 日本の公園とトイレは犯罪者好み)
2 進化する犯罪科学(人はなぜ恐ろしい罪を犯すのか こんな私にだれがした スキを与えると人は魔がさす デザインが犯行を押しとどめる 犯罪者はゴミが好き、花が嫌い 死体は雄弁に語る 最先端テクノロジーで未来を守る)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
matfalcon
26
7年前、逮捕はされなかったが窃盗で書類送検された。Mary Quantのバッグ。ロッカーが全開だった。バッグを手にして部屋を出ようとしたときに防犯カメラに気づいたが手遅れで、被害届が出されるとアッサリ。ちょうど自由になる10万円があったので刑事に「示談」を持ちかける形になる。「よく逮捕されませんでしたね。」とは駆け込んだ刑事事件専門法律事務所の弁護士。「犯罪機会論」を身をもって実践。爾来、旭川のいじめ凍死事件で亡くなった女子の遺志を継いで検事を目指す。2024/09/01
ふろんた
16
犯罪を予知するのではなく、予測する。機器や仕組みを取り入れるだけでは、防犯効果はない。人が関与し、人の目があるからこそ抑止力がある。机上の議論では新たな犯罪を防ぐことは出来ないし、現場を知らなければならない。2015/03/16
calaf
9
犯罪機会論の結果の解説。簡単に言えば、「入りやすい」「見えにくい」場所が危ない。なので、そういう場所は避けるか、警戒レベルを上げて通過する。普段の生活の中では、そういう場所を改善して「入りにくい」「見えやすい」場所にすることが重要。地域安全マップは正しく作る事が必要。街灯は犯罪者を呼び寄せるとか、人通りの多い場所は「見えにくい」場所など、結構常識を考えなおさないといけないかも。。。2013/10/26
Humbaba
8
人の目があるというのは、それだけで防犯効果が大きい。誰かが見ている可能性があるということは、罪を犯した場合にそれが露見する可能性が高まるということでもある。そのため、人はそのような場所では犯罪を慎む。一方で他者の目が届かないところであれば、自由に振る舞えるので犯罪を犯すことに対する拒否感が低下する。2013/11/18
GASHOW
6
防犯の知識は、捕えられた犯罪者の自供によるものだ。これは、犯罪に失敗したレベルの低い者の思考だ。捕まることのないプロの犯罪者は、そのような低い次元の失敗はしないことから、それに対する防犯の策はやはりわからない。それはあきらめるとしても、捕まる程度の犯罪者が狙いたくなる環境がわかれば、その環境を変えることで防犯になる。不審者という言葉が防犯に使われているが、犯罪者は不審者のイメージ像にならないようにしている。児童に「知らない人」に気を付けると教えても、数回見かけただけで知った人になる。犯罪の予測は重要だ。2015/04/30