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内容説明
国民的作家として読み継がれている司馬遼太郎。そのあまりの偉大さゆえに、司馬が書いた小説を史実であるかのように受け取る人も少なくない。しかし、ある程度の史実を踏まえているとはいえ、小説には当然ながら大胆な虚構も含まれている。司馬の作品は、どこまでが史実であり、何が創作なのか? 吉田松陰、坂本龍馬、高杉晋作が活躍する司馬遼太郎の名作をひもときながら、幕末・維新史の真相に迫る。【目次】はじめに/第一章 吉田松陰と開国/第二章 晋作と龍馬の出会い/第三章 高杉晋作と騎兵隊/第四章 坂本竜馬と亀山社中/第五章 描かれなかった終末/おわりに
目次
はじめに
第一章 吉田松陰と開国
第二章 晋作と龍馬の出会い
第三章 高杉晋作と騎兵隊
第四章 坂本竜馬と亀山社中
第五章 描かれなかった終末
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
134
司馬遼太郎の作品論のような感じであまりそこに登場してこなかった人物などにスポットライトを当あてているような気がしました。司馬遼太郎の作品はやはり小説なので作者の思い入れなどもあります。それはそれでいいとは思いますが、それが事実であったということで間違ってしまうこともあります。この著書はそのような見方を軌道修正してくれる感じがしました。2016/05/08
むーちゃん
125
ファンである司馬遼太郎関連(評論)を最近読んでいます。 この本のなかでも「史料や文献が沢山ある場面はあまり創作意欲がわかないのではないか」など解説してありますが、あくまで小説家なのでそれは致し方ないのかと。絶大な影響力、読みやすい文面、丁寧な解説のため、真実かと思う部分も多々ありますが、あくまで小説であり、読み手がしっかりその辺りを理解していればいいのかと。多少の負の影響があるのかもしれませんが、ここまで、歴史を知る機会、楽しませてくれる司馬遼太郎氏は偉大です。 2019/09/17
kokada_jnet
89
20歳をすぎたら、司馬遼太郎の小説を読むのはやめて、ノンフィクション作品だけを読むようにしたのだが。この本の指摘だと、『街道をゆく』にも問題の記述があるようで。同じ人が書いているからね。小説では「世界の歴史上、この人しかいない」という、ハリセンモノの描写がよくありましたね。司馬が「創作した人物」であるのに、その人についての資料があるように書いているのは、問題すぎる。でも、この著者も「毛利家の先祖は宮中に学者として仕えた大江広元」という問題記述を。大江広元は確かに朝廷にも仕えたが、メインは鎌倉幕府の重臣。2022/01/30
skunk_c
74
新しい歴史教科書をつくる会の藤岡信勝が「司馬史観」なるものをでっち上げて久しいが、本書は史料に当たることで、本来小説である司馬の著作を無批判に歴史的事実と受け止めることの問題を指摘する。主な対象は坂本龍馬と高杉晋作で、例えば龍馬の薩長盟約の裏書き(木戸孝允からの私信に認めたもの)に何の効力もないという当然のことを指摘する。船中八策も原典となる文書そのものがが存在していないとも。小説はあくまでもフィクションとして読むべき。ただし著者は司馬の著作は相当お好きで読み込んでいるようで、司馬に対する愛着も感じる。2022/09/24
災害大嫌い美少女・寺
65
現在の漫画やゲームに至る迄、幕末人物のキャラクターは司馬遼太郎の掌の上である。これは司馬小説を売っていない集英社ならではの好企画。著者は幕末長州が専門である為、長州部分が多いのは否めないが、地元や史料で確認した英雄伝説の実際が面白い。まるでスターの暴露記事を思わせる。松陰は幼児性が強過ぎると思う。高杉の伝説は嘘が多く実像が伝わっていないのだと痛感。新政府綱領八策の前文は貴重。中岡との共作なのか。2013/11/27