内容説明
東京都墨田区Y町。つまみ簪(かんざし)職人・源二郎の弟子である徹平(元ヤン)の様子がおかしい。どうやら、昔の不良仲間に強請られたためらしい。それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが――。弟子の徹平と賑やかに暮らす源。妻子と別居し、ひとり寂しく暮らす国政。ソリが合わないはずなのに、なぜか良いコンビ。そんなふたりが巻き起こす、ハチャメチャで痛快だけど、どこか心温まる人情譚!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
897
面白かっただけに分量がなんとなく物足りなかった。続編はなさそうな感じなのでもう少し先まで読みたかったな。しかし「つまみ簪」は読みにくかった。何度「つまみ箸」と読んだことか。国政もね。時々国の政治の事をいう読み方してた。2015/09/10
にいにい
864
1か月ぶりぐらいかな?三浦しをんさんのサラッと読める作品。こんな幼馴染の付き合いいいなぁ~。特に源二郎さんの豪胆ながら細心の気遣いをやってのける所。こんな友達ほしいな。国政は、何処でもいそうで、清子さんとの関係も最近はアリかな?登場人物のほとんどがいい人で、幸せが垣間見える展開がやさしい。若いころの夫婦のあり方が老後に悔いを残さないように、もう少し、相手を見極める努力って大事だよってことが教訓かな。源二郎は、それをサラッと出来てるんだよな。あたたかい一冊。慣れ染めの描写は、ほのぼのとして良かった。2014/10/19
めろんラブ
761
過去の積み重ねが現在だとすれば、これほど異なる今を生きる二人の生き様が重なるはずもなく。それでも、幼なじみとして同じ時代を生き抜いた歴史には確実に命が刻まれ、温もりを感じる。それが羨ましくもあり、微笑ましくもあり。しをんさんの嗜好を鑑みて、もしやこれはそっち方面なのかそうなのかと読み進んだが、長い年月を経て熟成された純粋な友情物語だった。過去から未来へ向けて変わらないもの、世代を超えて受け継がれていくものを象徴するような水路の佇まいと、師弟関係や夫婦関係の軽妙な人情噺風タッチに感嘆。2014/08/05
風眠
712
元銀行員の国政と、つまみ簪職人の源二郎。性格も歩んできた人生も全然違う2人だけれど、凸と凹がテトリスみたいにかみ合ったり、かみ合わなかったり、何ともいいコンビだ。2人合わせて146歳の幼馴染みコンビは何だか愛らしくて、笑わせてくれたかと思ったら、泣かせてくれたり、私の心を鷲掴みにしてさらっていった、イケてるじいさん達なのである。挿画の2人がイケメン過ぎて、私の脳内は華麗なる少女漫画状態。源二郎の弟子で元ヤンの徹平や、その彼女のマミちゃんも加わって「政と源」がいい味だしてる連作短編集。政のハガキ攻撃が傑作!2014/01/05
れみ
550
元銀行員の国政とつまみかんざし職人の源二郎、幼馴染みのおじいちゃんふたりのお話。クスリと笑ってしまうところもいっぱいあるけど、国政の源二郎に対する劣等感や素直じゃないところがなんだかもどかしくも感じられた。そして読みながら、つまみかんざしのことが気になって調べてしまった(^_^;)若い女性の職人さんもいるらしく、ますます興味が湧いてきた♪2014/06/17