内容説明
地球全体で、年間700万以上の人命を奪うがん。紀元前の昔から現代まで、人間を苦しめてきた「病の皇帝」の真の姿を、患者、医師の苦闘の歴史をとおして迫真の筆致で明らかにするノンフィクション。ピュリッツァー賞受賞作。
古代エジプトのパピルスにイムホテプはこう記した「この病の治療法はない」。この病を「カルキノス」と呼んだ医聖ヒポクラテスもまた「がんは治療しないほうがよい。そのほうがより長く生きるから」と述べている。人類は4000年にわたって、この怖るべき病気と闘い続けてきた。 外科手術による病巣の切除、X線による放射線療法、抗がん剤と骨髄移植を組み合わせた超大量化学療法、さらに「がんに対する魔法の弾丸」になると期待される分子標的療法……不治の病から治癒可能な病へといたるその治療の歴史と、「がん」をめぐる患者、医師、研究者たちの人間ドラマを見事に描きだした「病の皇帝」がんの伝記。
目次
第1部 「沸き立たない黒胆汁」(「血液化膿症」 「ギロチンよりも飽くことを知らない怪物」 ファーバーの挑戦状 ほか)
第2部 せっかちな闘い(「社会を形成する」 「化学療法の新しい友人」 「肉屋」 ほか)
第3部 「よくならなかったら、先生はわたしを見捨てるのですか?」(「われわれは神を信じる。だがそれ以外はすべて、データが必要だ」 「微笑む腫瘍医」 敵を知る ほか)
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- 評価
紀伊国屋で購入した本本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
27
先日読んだ彼の本と既視感アリ。…同じものの別訳…?混乱中。巻末のインタビューは医師であり、ことばのプロである著者の誠実なうえごたえが素晴らしい。2025/10/16
ぐうぐう
20
4000年に渡る、人類とがんとの闘い、その歴史を記す。著者曰く、がんの歴史書と言うよりも、がんの伝記と呼ぶにふさわしい内容だ。がんは単一の疾患ではなく、多くの疾患の集合体である。ゆえに、様々な専門医の、様々な解釈がまかり通り、様々なアプローチが存在する。著者は、その複雑な歴史を、専門的になりすぎることなく、かといって、一面的な浅い解釈に陥ることもなく、実にわかりやすく、スリリングに綴っていく。さらに、ときおり見られる文学的表現が、評論を越える次元に本書を導いていくのだ。(つづく)2013/11/10
太鼓
16
がんと人類との歴史をひもとく。けっこうあっさりと事実を羅列している感じなので、特別感動するといったこともないのだが、ある抗がん治療のプロトコルの説明を読んだだけで患者が置かれたおぞましい状況が浮かび上がり、泣きそうになってしまった。長期間薬漬けになったであろう患者のことを思うと身体が震えました。早く高い効果のある癌治療が実現するといいですね。と思いつつ下巻に参ります。2017/01/30
KAZOO
15
癌は大昔からあり、ヒポクラテスも癌に対しては何もしないほうがいいといっていた。このように昔からの癌に対しての処方などを逸話を入れながら物語風に記しています。このような本(病気や細菌などに関する)は苦手にしていたのですが、比較的すんなり読むことができました。2013/12/02
白玉あずき
11
素晴らしい労作。著者の知的能力、使命感、体力に感動した。臨床医師でありながら、これだけの仕事を成し遂げるとは驚きだ。翻訳者も医師なので曖昧な部分も無く、一般の読者にも理解できる、こなれた表現で良かった。巻末の大量の引用、参考文献が嬉しい。無味乾燥と思っていた学術文献の中にも、詩的に光る文章があるとは知らなかった。私の不勉強。それにしても人間って不思議だ。いろんな理由で世界中で殺しあっているかと思えば、病から命を救うために「戦って」いる。この矛盾。臨床試験に参加して下さった患者の皆さんに心から感謝。2013/09/14
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