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内容説明
戦国大名たちは合戦だけをしていたわけではない。 和睦や軍事同盟、領土交渉という「外交」を、活発に行って戦国時代を生き抜かんとしていた。 武田信玄・今川義元・北条氏康による名高い「甲駿相三国同盟」の成立の舞台裏をはじめ、文書と交渉者「取次」が飛び交う、外交の現場を生々しく描き出す。 最新の戦国期研究の成果がここにある! (講談社選書メチエ)
目次
序章 戦国大名という「地域国家」
第1章 外交の作法
第2章 外交による国境再編
第3章 外交書状の作られ方
第4章 取次という外交官
第5章 外交の使者
第6章 外交の交渉ルート
第7章 独断で動く取次
第8章 取次に与えられた恩賞
終章 戦国大名外交の行く末
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
12
再読。この時代に興味を持つ方なら強くお勧めできる一冊。近代国家がしばしばそうであるように、戦国大名も「外交」という営みを通じてその本質をあらわにする場合がある。とりわけ、当主のみならず一門や家中の有力者も必ず外交に参加していた事実は重要。戦国大名家は、当主独裁では成り立たなかったのだ。私的な利害を追求しがちな外交担当者(「取次」)、何よりも重んじられる面子、婚姻関係の重視といった現象も興味深い。2023/04/01
軍縮地球市民shinshin
11
戦国大名の研究は1980年代以降進んでいるという。といっても歴史オタクが喜びそうな本能寺の変の黒幕がどうとかいう話ではなく、家臣団構造や領国経営などの社会経済史的視点から、という意味だ。歴史オタクが喜びそうな「これが本当の史実だ!」みたいな研究は2010年代に入ってからではないか。本書は著者の博士論文の一部を一般向けに書き下ろしたということで、内容は難しいが、「取次」に着目した研究として面白い。ところで表紙のひげもじゃ男は信玄ではないという説が最近出ているがどうなのかと思った。2016/08/25
ほうすう
9
戦国大名の外交について、取次という存在がどのような役割を果たしたのかを様々な事例をもとに考察している。戦国大名がさほど専制的ではなく、取次という存在を必要としていたということ。大名の発言が家中の支持を得たものであるという保証としての一門や宿老が取次として存在したという考察は興味深かった。2021/07/29
珈琲好き
6
東国情勢ハ複雑怪奇ナリ2016/05/16
兵衛介
6
戦国本としては久々に大当たりの一冊。大名間外交における取次制度について豊富な史料分析の基づき考察。成る程。さらっと触れられていた程度だったが、光秀謀反の理由も長宗我部氏の取次罷免が大きく関係していそうだ。2013/10/17