幻冬舎文庫<br> スウィート・ヒアアフター

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幻冬舎文庫
スウィート・ヒアアフター

  • 著者名:よしもとばなな【著】
  • 価格 ¥477(本体¥434)
  • 幻冬舎(2016/02発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784344420755

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内容説明

お腹に棒がささった状態から生還した小夜子は、幽霊が見えるようになってしまった。バーに行ったら、カウンターの端に髪の長い女の人がいる。取り壊し寸前のアパートの前を通ると、二階の角部屋でにこにこしている細く小さい女の人がいる。喪った恋人。元通りにならない頭と体。戻ってこない自分の魂。それでも、小夜子は生き続ける。涙あふれる書き下ろし小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

198
ついつい、そのボリュームの薄さ加減から手にとって読み始めてしまう「ばなな」さん作品です。ここ最近、立て続けに読んでいるので、そろそろ飽きるでしょ?となっても不思議ではないのですが、そこはやっぱりさすがは「ばなな」さん、飽きる飽きないのレベルではなく、傷つき失われた自己を再生する物語の確固たる領域を築き上げているので、安心して読んでしまいます。多分、安心?して読み続けることの要因として、男女間のめんどくさい恋愛が絡まないこともあげられるのかなと。過去よりも現在、現在よりも未来へと前向きな物語に感動します。2015/06/27

さてさて

167
2011年9月の日付が記された〈あとがき〉が示す通り、この作品が”東日本大震災”を意識して書かれたというその事実。この作品全体から漂うなんとも茫洋とした雰囲気感、作品を包み込むなんとも言えないあたたかさ、そしてそこに描かれる恋人の死を乗り越えていこうとする主人公・小夜子の再生の物語。〈あとがき〉を読んでこの作品に込められた吉本さんの想いが伝わってきました。“この小説はやはり命についての覚悟を描いたものだと思う”と語る吉本さんのあたたかい眼差しを感じる物語の中に、人の優しさに包まれる瞬間を感じる作品でした。2022/12/29

ケンイチミズバ

103
本棚からよしもとばななが落ちて来たので、また読んでみた。事故から自分だけ生かされたことで感じる喪失や新しい人生の喜びに罪悪感を感じる彼女に震災後の私たちは共感すべきです。自ら大けがを負い他人に対する優しさも満ち溢れている。が、今の私たちはどうなのでしょう。それを強く思いました。最初に読んだ時の自分の素っ頓狂なコメント、加害者への怒りの感情がないことをおかしいと述べております。やり場のない怒りが人を誤った方向に導くことが多々あります。最悪それは復讐であったり無関係な人への攻撃であったり、巻き添えにしたりと。2021/02/19

YM

85
お気に入りさんが読んでるのをみて、手にとった本書。久々のばななさん。生きていること、生かされていることを、ひしひしと感じました。家族、友達、仕事で関係ある人たち、ここでいつもナイスを押してくれたり、コメントをくれるみなさん。いつもありがとうございます。みなさんのお陰で、僕は今日もたまたま生きていられます。2014/11/17

ケンイチミズバ

83
震災が契機という作品はいくつか読みました。主人公は事故で金属の棒に腹を貫かれ、時々お腹が心を揺さぶります。めそめそした時間、立ち直る時間、包まれる優しい時間がうまく表現されており、幽霊が見えるようになったことで広がる考え方や人生を大切にする物語も理解できます。自分だけ生き残った事を重く受けとめる必要はないのです。普通にまた、だれかを好きになり、飲んで楽しく会話し、食事をして美味しいと感じ生きてゆけばよいのです。朝がリセットする。きれい過ぎますが、わかります。2016/01/28

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