内容説明
東に織田信長、西に毛利輝元の勢力に挟まれてた城主・小寺政職。家老の官兵衛は、さっそく信長との仲介を羽柴藤吉郎へ頼みに行く。そこで軍師・竹中半兵衛と出会ったことにより、運命の歯車が廻り始める…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かいと
29
官兵衛が荒木村重につかまっていた時に、官兵衛の家臣が助けに来ていたところが良かったです。中国大返しの所が本にあったのかよくわからなかった。2016/12/09
イプシロン
26
優れた日本語の文章は、読んでいるだけで楽しかった。さすがは吉川英治だと惚れぼれした。ヴェルレーヌは、語句の選択が音楽性と霊感をよび醒ますと言っているが、吉川の文章にはきっと詩的なものがあるのだろう。パトスとエートスが心の襞を揺らし、厳かにロゴスが霹靂と降ってきたからだ。天命を知ることの重要さが、夏の雷雨のなかに鳴り響いたのだ。倫理の間違いを正さんという轟音である。「友の情け」の章がそれだ。主従と親子の関係を同一視していた官兵衛の過ちを諫める竹中半兵衛。本著で吉川が言わんとすることは、これに尽きるであろう。2023/07/06
Gummo
24
2014年の大河ドラマの主人公・黒田官兵衛の青年時代を描いた作品。見所はやはり、有岡城での壮絶な幽閉生活と家臣らによる救出物語、そして子・長政を巡る竹中半兵衛との友情物語であろう。今では広く知られている話かもしれないが、吉川英治お得意の読者の感情に訴えかけてくるような筆致で語られると、これがもう泣けるのである。自身を裏切った主君の子孫を庇護し、明治維新まで家を存続させるとは、何と忠義に厚い男だろうか。 ★★★★☆2013/10/02
いっちゃん
14
三国志でお世話になった、吉川さん。久しぶり。大河ドラマとは違う官兵衛かっこ良い。歴史小説は、史実に残っているものを脚色してるわけだから、書く人によって、性格や解釈が変わるのも仕方ない。誰にスポットをあてるのかでも、全く違っておもしろい。読むの時間かかるけど、やっぱり歴史小説好き。それにしても、昔の男子の潔さ、天下統一のその後(平成)を知ったら愕然とするんやろうな。真逆やもんね…2014/07/26
シン
13
多くの黒田官兵衛を扱った作品を読みましたが、吉川英治の黒田如水は一冊の本としてはかなり読みごたえがありました。吉川作品では「宮本武蔵」がお気に入りですが、それとも異なり、内容は濃かったと思います。また、他の黒田官兵衛とは異なり、二兵衛のもう一人「竹中半兵衛」が有岡城から官兵衛が救出された後も存命だったというストーリーで新鮮に感じました。ただ官兵衛と半兵衛の年譜を調べてみましたが、やはり官兵衛が救出される前に半兵衛は亡くなっていたのは確かなようです。吉川英治の官兵衛と半兵衛への思いがそうさせたのでしょうか?2013/10/14