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内容説明
流通ジャーナリストとして活躍していた金子哲雄氏。その妻で編集者の金子稚子氏が、死の準備とエンディングノート、夫妻の「引き継ぎ」について語る。金子哲雄氏が、死の準備に積極的に取り組んだことはすでに知られている。葬儀に限らず、生前にさまざまなことを稚子氏に頼んでいる。しかし、エンディングノートは残していない。なぜなら、時間をかけて、妻・稚子氏に十分な引き継ぎをしていたからだ。結果的に稚子氏は、その引き継ぎによって、残された者たちが「悲しみすぎない」生活を送れることを実感する。大切な人を亡くした、厳しい悲しみは決して癒されるものでも、乗り越えるものでもないのかもしれない。しかしこの時、大きな支えになるのが引き継ぎではないか、と考えた。悲しみは悲しみとして抱えたままでも、それはそれとして次に進むために。残す人も残される人も参考にしたい、生と死を冷静に見つめる一冊。
目次
第1章 金子哲雄の死の準備(金子哲雄は、なぜ死の準備に積極的に取り組めたか 連続した「今」の延長線上で、死を迎える ほか)<br/>第2章 引き継げる関係をつくっておく(引き継ぐ時には、もう「あの世サイド」にいる 最初の期待値は低いほうがいい ほか)<br/>第3章 「引き継ぎ」から生まれること(人間関係は死後も継続される 生と死の境は線一本 ほか)<br/>第4章 「死」とは何か?(医療のせいにしすぎない 「死の受容」という言葉に違和感 ほか)<br/>第5章 「引き継ぎ」のすすめ(エンディングノートはいらない 引き継ぎに必要なもの ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hatayan
44
41歳で早世した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻が死生観を綴るエッセイ。残された人たちが悲しみ過ぎないように、生前に自分の意思を残す「引き継ぎ」の意義を強調。普段から話し合う習慣を続け、「お約束」ともいえるやりとりが関係の中にできていれば、その人がいなくても反応を条件反射のように感じることができる。だから、死者との関係は個人的なものと断ったうえで、身近な人との関係はその人が死んだ後も続くとします。愛する者が死後も心の中で生き続ける話は、『魂でもいいから、そばにいて』(奥野修司著)と重なるようでした。2020/09/28
kawa
33
難病・肺カルチノイドに侵され、41歳の若さで亡くなった流通ジャーナリスト・金子哲雄氏の「死に方 エンディングダイアリー500日」読了直後に、氏の奥様が綴る本書を手に取る。金子氏の死後にいたるまでの見事なプロデュースぶりを奥様の目から。ご夫婦の死生観は「死は、大きな流れのなかのひとつの通過点に過ぎない」。「死んだらご破算に願いましてのすべてお終い」の私にとって「目から鱗」の考え方。金子氏だからこそという感もあって本書のような考え方、今は消化しきれないなとの思いが正直なところ。ちょっと寝かしておくテーマかな。2023/06/13
小梅
17
昨年亡くなった金子哲雄さんの奥様の著書。今はネット上に幾つかのIDを持っている人がかなりの数いるし、今後増えるばかりだろう。これからの時代は治療の方向や遺産だけでなく、自分のIDやデータなどネット上の個人情報や記録をどうしてほしいか明確に意思表示をしておく必要があるだろう。2013/12/23
のり
8
葬儀社と金子さん本人が打ち合わせしたのには驚きましたが、確かに主役は亡くなる本人だと稚子さん同様に納得。金子さんはどんなメールの返事にも「ありがとう」と感謝の言葉を綴っていたということが印象に残りました。他人にしてもらったことに対して、評価と承認と感謝をし続けることが大切だと考える御二人。とても素敵なご夫婦。死の先を考えるのは、死ぬ本人だけではなく、残る人も含めて、すべての人がしなければならないこと。「生老病死」がセットになって人の一生。死はやってくるのではなく、こちらから向かっていくもの。2016/11/21
えがお
7
41歳で亡くなった流通ジャーナリスト金子哲雄氏妻著。病気を隠し最期まで仕事の生き様が当時ニュースになったが、その裏で残された奥様や隠していた仕事の関係者に対して氏がどれ墓は自分のアイコンと考え東京タワー見たら思い出してもらえるようふもとの寺に永代供養、自分の人生と仕事での不義理をわびるための式と自分が自らの葬儀のプロデュースして亡くなるなど、見事としか言いようがない死に様。まさに著者の生き様が投影されている。哲雄氏の本も取り寄せ中。読むのが楽しみkindleunlimited2016/11/01




