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内容説明
2008年に刊行した前著『なぜ世界は不況に陥ったのか』(池田信夫氏との共著)でリーマンショック後の世界金融危機をいち早く経済学的に分析したのに続き、本書では安部政権と黒田日銀総裁によって推進されている大胆な金融緩和を柱としたアベノミクスを経済学の知見から批判的に分析する。
内容は5つの講義で構成される。第1講の「なぜ日本はデフレに陥ったのか」と第2講「マクロ経済学の新しい常識」がいわば基礎知識部分。フィリップス曲線、予想インフレ率、自然失業率、インフレ・ターゲティングなど、アベノミクスを理解するための知識を政策担当者や経済報道に携わるジャーナリストが理解しやすいように解説している。
目次
第1講 なぜ日本はデフレに陥ったのか(インフレ予想と実績としてのインフレ 予想インフレ率は操作できないのか ほか)
第2講 マクロ経済学の新しい常識(マクロ経済学小史 本当のインフレ・ターゲティング ほか)
第3講 ゼロ金利制約と金融政策(金融政策って何? 非伝統的な金融政策 ほか)
第4講 金融緩和と為替・財政政策(為替レートの決定要因 財政政策の有効性と持続可能性 ほか)
第5講 アベノミクスの現在と将来(量的・質的金融緩和の行方 財政健全化という逃げられない課題 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
tkokon
7
【再読・追試】経済学の視点で、かなり誠実にきちんとアベノミクス(ならびに様々な経済政策)を語っている。書いている内容の10%も再現できず、5%も理解できていないが、「確かにこれをちゃんと理解できれば、経済政策のかなりの部分は考え方は整理できるかな」と思われる。上質な教科書といったところ。通勤時間に流し読みするのではなく、ペンとノートをもって、1ページずつきちんと復習するぞ、と。アベノミクスを理解する推薦図書ナンバー1。内容を理解できていないのが情けないところだが。2013/12/20
ペンギン伊予守
5
可能な限り平たい言葉で真実を伝えようとする真摯な取り組みでした。2014/08/26
スズツキ
3
出口治明推薦書。日本のデフレについて。第一次オイルショックで日本は高インフレを経験するが、その経験によって欧米が陥った第二次は乗り切り、唯一スタグフレーションに陥らなかった。このときスタグフレーションになっていれば、日本はデフレにならなかったという。また、各学派から見た場合の経済政策の評価の仕方が面白い。オールド・ケインズ経済学では政策の変更があっても、人々の行動パターンは変化しないと仮定していたが、その間違いを指摘したのがルーカス批判で、著者はこのルーカス批判をマクロ経済学の歴史の分岐点を評価している。2014/11/10
Akiro OUED
2
ゼロ金利では、貨幣にも国債にも利子がつかない。貨幣と国債は同じだ。国債を発行せずにお札を刷って配ればいい、ってのがMMTだけど、ゼロ金利を条件とする屁理屈だ。国民が将来の見通しに不安を持っていることが景気回復の障害になっている。もはや、経済学は社会心理学に一部門となった。好著。2023/03/03
Kooya
2
マクロ経済学の歴史と経済政策の基礎知識について論じた後、アベノミクスの展望を述べた本。財政に対する考えに関してはMMT等とは異なるが、この点に関しては前提とする経済学が異なれば、政策解も異なるのである意味で当然と言える。個人的にはゼロ金利制約に直面している状況での金融緩和はあまり意味が無く、リフレ派の考えに疑義を呈している点は非常に納得できると感じた。(コメント欄へ続く)2021/08/09




