内容説明
南北朝合体の後も旧南朝勢力は、室町幕府の抱える諸矛盾と結びつく形で再起を図り続けた。史料実証の立場から可能な限りの関係史料を収集し、その「闇」を明らかにする。後南朝の歴史に光を当てた好著。
目次
序章 後南朝とは
第1章 南北合体、一天平安
第2章 後亀山法皇とその周辺
第3章 南朝皇胤と室町幕府
第4章 禁闕の変
第5章 長禄の変
終章 後南朝の終焉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
26
コンビニで売ってる本のようなおどろおどろしいタイトルだが、中身は手堅い研究書。後南朝、すなわち南北合体後もこれを肯んじず抵抗し続けた南朝の後裔というマニアックなテーマである。後南朝の現実的な勢力は微々たるものでも、鎌倉公方や伊勢国司・北畠氏、嘉吉の乱後の赤松氏、果ては畠山義就に至るまで、折に触れて反政府勢力と結びつく潜在力のあったことがよく分かる。見方を変えれば、室町幕府もこんなに火種を抱えながらよくあれだけ長続きしたものだ。2025/05/21
qwer0987
10
南朝は敗者で主体的に記録した文献はなく、彼らを知るには第三者が記録した内容を寄せ集めるしかない。そんな後南朝の歴史を丁寧に解き明かし組み立てる作者の研究姿勢は素晴らしかった。南朝はジリ貧な状況だったわけだが、高貴な血を引いているだけに利用価値がある。そのため幕府の対抗勢力は後南朝の皇胤を担ぎ出して旗頭とし何度か混乱も起こる。義満と義持は彼らを取り込もうとし、義教は絶やそうとした。それでも何度も再起の動きを見せるのは後南朝の矜持だろうか。弱小勢力ながら中央の政治と無縁ではない後南朝の姿がわかり勉強になった2022/11/12
MUNEKAZ
6
後南朝を追った一冊。室町幕府に不穏が漂うたび、反幕府派の旗印として担ぎ出される南朝の後裔たち。不死鳥のごとく活動してきた彼らが応仁の乱以後ぷっつりと消息を絶つのも、その存在が北朝・幕府あってのアンチテーゼであって、幕府自体がガタガタになり、利用される神輿になってしまうと、もはや存在意義がなくなってしまうからなのかもしれない。また護良親王以来となる南朝と赤松氏の繋がりが、陰に表に見え隠れするのも興味深かった。2018/06/23
蛭子戎
6
南朝が降った後でまた後亀山上皇がキレて逐電して後南朝としてまた室町政権と対立。そして長録の変で滅亡...したかに見えてちゃっかり応仁の乱のころまで残ってたんだよねって話。著者の論文集なのか時系列が行ったり来たりする。主要な登場人物の活躍年代とそれなりのキャラクターの知識がないと読みにくく感じる人もいるかもしれない。2018/01/19
Sanchai
6
南北朝研究の第一人者である森先生の著書。後南朝の歴史といいつつも、これを読むと後南朝とは室町幕府と南北合一後の皇室・皇胤の混乱ぶりを投射する鏡のようなものであったのかなという気がした。京都だけでなく、鎌倉府や播磨で幕府に反旗を翻す動きが描かれたり、南伊勢の北畠氏の動きが描かれたりして、いわば南北合一から応仁の乱あたりまでの室町時代中期の政治史全般が描かれているといってもいい。後南朝の動向を示す史料は少ないと著者は言うが、当時の日記がこれだけ残っているのは驚きだし、著者の読み込み方もすごいと思った。2015/06/17
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