内容説明
京を追放された親鸞は、妻・恵信の故郷である越後に流されていた。一年の労役の後、出会ったのは外道院と称する異相の僧の行列。貧者、病者、弱者が連なる衝撃的な光景を見た親鸞の脳裡に法然の言葉が去来する。「文字を知らぬ田舎の人々に念仏の心を伝えよ」。それを胸に親鸞は彼らとの対面を決意する。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
83
父は出家し、母と死に別れた忠範は、その後伯父の元で暮らすが、ふとしたきっかけで河原聖の浄寛、ツブテの弥七や法螺坊弁才と知り合い、縁あって12歳で比叡山への入山し、名前を範宴と名乗り、仏教学の基礎を学ぶ。高僧・慈円の支持に従い、都で評判の法然房の様子を探ることになる。彼の悩むは深まるばかりで、好相行や回峰行などに挑むが糸口は見えない。そんな中で、以前知り合った傀儡女で今は希代の今様の歌い手となった當麻御前と再会を果たすが、範宴の身代わりとなって命を落とす。波乱続きの人生、今後どうなるのか目を離せない。2023/08/20
naoっぴ
73
まるで冒険活劇を読んでいるような胸踊る面白さ。緩急に富んだストーリー展開とキャラの面白さで疾走するように読む。異形の祈祷師・外道院との怪しげな出会い、戸倉父子との対決などの迫力あるシーンに加え、美女っぷり満点の恵信で色を添え、エンタメ性満点。親鸞という僧を、念仏に生きるひとりの男という視点から描く。楽しいです。下巻へ!2018/05/10
marco
58
親鸞が「流刑者として越後へ送られ、やがて関東で家族とともに暮らした時代」を「あくまでも小説として」(@五木寛之)描いている。親鸞の教えがなぜ今日性を持ち得ているのかを知りたくて、前作『親鸞』から読み継いでいるが、理解はまだ闇の中。次作『完結編』の最終ページを読み終えたとき、五木親鸞がたどり着いた境地に1ミリでも近づければと願う。2015/03/01
ちゃとら
57
以前、親鸞(上下)を読了。3部作と知り購入したが積んでいた。今回の京都旅行で、駅前なのにいつも通り過ぎていた本願寺の、お東さんとお西さんを訪れ思い出し読了。まだまだ、続きます🙏2019/03/23
財布にジャック
55
前作は物凄く入り込めたのですが、間をあけて読んだせいかなかなかエンジンがかかりませんでした。相変わらず読みやすいし、お話としては楽しいのですが、なんだか楽しい分嘘っぽい気がしてしまって熱が醒めてしまったようです。下巻で、そんな気分を一新させてくれることを期待して引き続き読みたいと思います。親鸞は神掛かっている訳ではなく普通の人なので、そこが魅力的です。2013/08/16