内容説明
人間は隠れてセックスを楽しみ、排卵は隠蔽され、一夫一婦制である―
ヒトの性は動物と比べてじつは奇妙である。
性のあり方はその社会のあり方を決定づけている。
ハーレムをつくるゴリラや夫婦で子育てをする水鳥、乳汁を分泌するオスのヤギやコウモリなど
動物の性の“常識”と対比させながら、人間の奇妙なセクシャリティの進化を解き明かす。
目次
1 人間の奇妙な性生活
2 男と女の利害対立
3 なぜ男は授乳しないのか?
4 セックスはなぜ楽しいか?
5 男はなんの役に立つか?
6 少なく産めば、たくさん育つ
7 セックスアピールの真実
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
391
人間の性の諸特徴について、進化生物学の見地から考察したもの。たしかに人間の性行動には他の動物と比して不思議なことがたくさんある。受胎を目的としないセックスがその最たるものであろうが、閉経後のセックス、あるいはそうではなくても避妊措置を講じてのセックスなどはどのように説明が可能なのだろうか。残念ながら、これについては満足な答えが得られなかったが。また、セクシュアリティと文化についても疑問は多い。例えば、タイ北方の首長族(カヤン)や、唇を肥大させるエティオピアのムルシ族など、文化人類学的な謎は多い。 2017/07/24
mitei
253
他の動物からみたら人間の性生活から子育てまで、変わってるんだろうなと改めて思った。霊長類でも人間の特殊さが際立ってる事は初めて知った。2016/08/14
takaichiro
102
本書は男女の性差、そこから生まれる役割、その変遷ををサイエンテイックな視点で分析する進化生物学のテキスト^_^理系のお話でとっつき難いが、空気の様に当たり前だと思われるヒトの性がどのように進化してきたかを様々な視点で解説。普段と違う感覚で自分や社会を眺めた感覚^_^人間のセクシャリティは長らく卑猥・エロスに結びつけられ、バタイユを人前で読むことさえ憚られていた様に思う。LGBTへの理解が求められる時代。この分野を真面目なレポートがこれまた堅物の草思社から出版されていることに納得と軽い感動を覚えた^_^2019/07/16
lily
89
排卵の隠蔽のマイホームパパ説も人類の観点からは成功しているようにみえても、誠実性を維持できている本当に幸せな夫婦はそう多くないだろうね。無理して何とか形だけで心殺して生きている人は少なくないよな。2021/04/12
やいっち
74
再読。ひたすら好奇心で。車中にてせっせと(?)読んだ。原題は、「なぜセックスは楽しいか?」で、「?」がポイントってわけじゃない。生き物として奇妙過ぎるってこと。数年前の初読の際、感想は書いてない? 動物の事例もかなり言及されてる。単行本では分からないが、文庫本には画像がないのが物足りない。2023/11/09