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内容説明
人間は一人でいることはできない。といって、他人と一緒にいると不快なことだらけ――。「人間嫌い」のための、居心地のいい人間関係のつくり方とは。哲学者が、カントの言葉「非社交的社交性」を手がかりに、哲学、日本、若者を考えるエッセイ。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ito
51
若い人向けの哲学のススメといった内容。前半は中島先生ご自身の話で非社交的社交性を身につけられた経緯がわかる。哲学的キーワードが散見され、知識を得ようとするとまとまりがないようにも感じる。後半は哲学塾の学生たちの事例が中心である。この若者達の奇妙な生態が異常な面白さを醸し出しており、何度も笑わせてもらった。日本社会で彼らは生きにくいはずである。しかし笑っている私自身も世の中を生きにくいと感じており、そういう人々に向けて哲学をすすめているのが本書ではないだろうか。2013/11/04
ヒデミン@もも
34
もう可笑しくて苦笑しながら読みました。中島先生の哲学塾の塾生になりたいなぁ。でも、真面目なお弟子さん?達の中で笑いを堪えられなかったら『明日から来なくていい❢』って怒鳴られてしまうのでしょうか? 前半は作者の生い立ちやら半生を哲学を絡めて真面目に構成されているから読みづらかった。後半の塾生で例えた今時の若者論が可笑しかった。と書けば、また中島先生に怒鳴られそうな気がします。2013/09/08
踊る猫
32
冷徹で硬質な文章の隅々から「……なんちゃって」という呟きと含み笑いが聞こえてきそうだ。そして、本書を読んで中島義道という人がどうも胡散臭い理由もわかったように思う。この人は(目新しい発見だとも思わないが)道化師なのだ。死を思い、人生の意味を思い、世を憂い若者に怒り「〈対話〉のない社会」に楯突く全ての営みが、あまりにも不器用な哲学的営為のようで、しかし実は(したたかに世渡り上手な生き様からも伺えるように)「なんちゃって」な著者の道化精神に裏打ちされたものであることが伺える。もちろんそれが悪いわけではない、が2021/02/07
めがねまる
20
難しそうなタイトルに反して中身はエッセイ的で、読みやすくはあるんだけど何を言っているのかやっぱりわからない……ただ、哲学塾の聴講生募集の書式の話から察するに、この著者はすごく変わり者で面倒臭い人だな、ということはわかった。2018/08/17
くろすけ
17
「生きることに意味があるのか?」というような哲学テーマに身を投じることは、確かに対人恐怖に取り付かれた若者たちには魅力的な逃げ場でしょうね。高尚な、誰に恥じることも要らない「居場所」。思考を追い詰めて高みを目指すべき、ある意味最も困難な学問の世界を、恐らくは何らかの発達障害を抱える若者たちの逃避場にされてしまった哲学者の困惑の書。嘆きながらも社会と折り合う術を指導する温かみのある先生ですね。若者たちの背後に蔓延する「甘え」「思考省略」の風潮に対する警鐘は社会全体で常に意識していなければと思いました。2013/09/16