メディアファクトリー新書 漫画・日本霊異記

著者名：ｉｃｈｉｄａ【著者】

KADOKAWA（2013/08発売）

• ISBN：9784840151757
• NDC分類：184.9

内容説明

悪い行いをしたら罰が当たる。善く生きれば報われる。日本人の心に深く根ざすルールを初めて民衆に植えつけた古典『日本霊異記』。傲慢で淫乱で私欲私利に走る庶民に罪の意識をもたせるために編まれた物語は、ときに過剰なほど残酷でエロティック。いつの世も変わらぬ欲望をめぐる物語が、気鋭の漫画家の手で蘇る！

目次

地獄を見た男
鬼に喰われてしまった処女
蛇に犯された娘
肉団から生まれた娘
狐を妻にした男
あまりにも怪力な女
烏を見て絶望した男とその妻
高僧、魚を食らう
母は人気者
行基さまは率直にものを言われる
経を読む髑髏
復讐の連鎖
貞操を捧げて放生を乞う女
親不孝が死を招く

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[mitei]

日本霊異記という古典を漫画化した一冊。中々興味深い話ばかりで孝行などの善行というのは大切だなと思った。

2013/04/24

[べる]

原文(漢文・書き下し文)と漫画で構成。説話文学の源流となった、わが国最初の仏教説話集。雄略天皇から嵯峨天皇に至る異文(奇伝)、特に因果応報に関する説話を集めたもの。善い行いには善い報いが、悪い行いには悪い報いがある。本当にあった不思議な話だと読者を惹き付けて多くの人を仏の道に導いた。あらゆる生き物は六道の中を生まれ変わり続ける、輪廻転生。極楽浄土に一緒に往生することを願う、一蓮托生。親子であっても執着心をもってはいけない。神や仏や死者は夢の中で何かを伝える。｢孝｣(親への報恩)が最も大切な倫理として強調。

2020/08/27

[neimu]

大好きな『日本霊異記』が漫画化ってどんな感じかと思って購入。買うほどのこともなかったかというか、有名なメジャーな話よりも、男性受けするような性的な話と親孝行の話に焦点が当たっていて、私の好きな分野に焦点は当たっていなかった。どちらかというと、男性誌のコラムみたいな感じのできあがりで、一応書き下し文になっている準原文が載せられていたものの、題材は今一つ。絵柄に関しては、おどろおどろしい劇画調よりは簡素であっさり系の方が、拒否されないとはいえ。もう少し、下ネタで釣らずに話を引っ張って欲しかったな。

2013/06/01

[百式改（公論サポーター東海）]

奈良時代からすでに女性に清廉さを求めていたのかと。後に源氏物語が成立し現代まで残っている事との整合性がとれない。

2021/12/25

[だいすけ]

エロい話が多いのは、それだけ人の興味をひくようにとのことで。人を引き込んでから仏教の難しめの話に持って行き、善悪を説いた。古典と言われるものを読んだのははじめてなのだが、こうした優れた手法により現在にもなお息づく道徳観を目の当たりにした。自分と歴史とを縦につなぐ古典の素晴らしさを学んだ。漫画の絵柄もシュールというか可愛らしいというか、変におどろおどろしくなくてよみやすかった。

2014/01/03