内容説明
まさか!? なんてこと!! パンダの母親は「できの良い子」をえこひいきして「ダメな子」を見殺しに。タスマニアデビルは生まれたての赤ちゃんにサバイバルレースを課し、リスはご近所の子を取って食う……子殺し、DV、虐待は日常茶飯事。極悪非道に映るメスたちの狙いとは? オスはその時どう動く? 「ヒト」は彼らと別物か? テレビ番組や動物園が伝える美談からは決して見えてこない、動物たちの恐ろしく、たくましい真実の姿。
目次
第1章 パンダの育児放棄
第2章 クマの産児調整
第3章 ハヌマンラングールの子殺し
第4章 ラッコの暴力行為
第5章 タツノオトシゴの自己改造
第6章 タスマニアデビルのキョウダイ殺し
第7章 オオジュリンの浮気対抗術
第8章 先住民たちの虐待
第9章 赤ちゃんか、“精霊”か
第10章 母親たちは進化したか
第11章 壮絶事件の根と芽
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
34
☆☆☆★ 自分の遺伝子を確実に残そうとするための動物たちの様々なシステム。興味深かった。昔の日本の風習に「間引き」があったが、共倒れになるのを避けるためにやむを得ないことだったというのは理解できる。児童虐待が行われる背景、ステップファミリー(継父または継母と継子)、多胎児、障害児、望まぬ妊娠、貧困、周囲からの孤立、虐待の連鎖、この年齢が接近しているなど。2021/10/04
柔
29
双子を産んだら片方しか育てないパンダ、相手の連れ子を殺すサル、40匹から母の乳首を勝ち取った4匹だけを育てるタスマニアデビル。全ては「効率よく自分のコピーをこの世に残す為」人間の観点からすれば残酷とも思われるが、自然界は生き延びる事に必死だ。人間だけが、乳飲子がいる中でも交尾ができるらしい。授乳が終わるまで他の相手とは、子は出来にくい仕組みでもあるらしい。アフリカ部族でも父性家族より母性家族の方が子育てはうまくいく。すごく納得。趣旨は最終章からなのだろうが、それまでが目からウロコの知識で興味深い。2018/10/29
petitlyz
18
【図書館で借りた】繁殖・子育てについて昆虫や動物そして人間まで興味深く書かれていた。子殺しや育児放棄など、とりあえず動物は法律に縛られないので、自分の遺伝子のコピー(できるだけ優れてるもの)を残すために、自然環境や生存競争の中で、有意に取捨選択が行われている。いかに繁殖し、いかに自分の子孫を残すか常に競争。 人間でも少数部族などに残っている母系制社会。これは母子にはいい環境かもしれないと思う。あと、ヤノマミ族では子供の年齢差を3歳以上離している。育てやすくするため。生命の不思議な摂理に目からうろこ。2023/07/10
✿yoko✿
17
読んでる間中、ずっと『げ~~』というしかめっ面をしてました。動物の子殺しから、人間の子殺しへ。記憶に新しい具体例もあって考えさせられましたね。2013/07/05
calaf
17
タイトルから、野生動物の本当の姿は時には非情なものだ...という話かと思っていました。もちろんそういう話も書いてあるのですが、それはこの本の単なる導入部分。メインパートは、動物の一種でもある人間、しかも現在日本人の児童虐待の話。導入からメインという流れで分かるように、ある意味同じ傾向が見られるという事らしい...結構驚いたけど、分かる気がする...でも、分かっても問題解決になるかどうかは別問題のような気もしますが。2013/06/10