内容説明
銀行から最悪な経営状態のアパレル企業に転籍した若木豊。だがそこには今まで持ち得なかった「物作り」の喜びが溢れていた。会社に愛着を持ち始めた若木は資金集めに奔走する。しかし古巣・東亜菱光銀行の態度は冷たい。そんなとき偶然会ったかつての同期、臼井。彼は銀行幹部の重大な秘密を抱えていた。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
PEN-F
42
銀行の闇。顧客よりも金融当局を意識しがちな銀行。銀行は晴れの日に傘を差し出して雨の日には傘を取り上げることも度々起こる。今作に登場する頭取と常務はかなりイタイ。まあよくもあれだけ次から次へと悪巧みができるものだと感心してしまう。しかも最期はとくに厳しく罰せられる事もなく、絶妙にフェイドアウトしていく様がリアル。2023/05/17
Walhalla
22
企業再生を描いた経済小説です。 バブル崩壊後の銀行の貸し剥がしは他の作品でもよく扱われますが、本作品は、著者が大手都銀の支店長時代の体験をモデルに書いた作品ということで、すごく読み応えあります。 派手さはありませんが、出向先の中小企業で活躍する主人公が、とても格好良かったですね。 江上剛さんの経済小説作品は、とても勉強になります。2016/10/05
hiyu
4
時代背景は少し古くなる。当時の状況は印象的な場面を含めてなんとなく覚えている程度。バンカーとしての、企業人としての維持は後半になるに連れてひしひしと伝わってきた。2024/07/13
ゆうさん
4
江上剛さん2作品目。やはり作者の銀行員時代の経験が豊かなので読み応えがあり引き込まれた。勧善懲悪で心地よいが、こんなに上手く行くだろうかという疑問が湧いた。満足感は得られたので他の作品も読んでみたい。2017/03/29
けい
2
終盤に少し面白さを感じたが、序盤はタラタラと暗いシーンが続く。抑揚が足りない。2024/05/12