卒業式の歴史学

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卒業式の歴史学

  • 著者名:有本真紀【著】
  • 価格 ¥1,595(本体¥1,450)
  • 講談社(2013/04発売)
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  • ポイント 420pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062585491

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内容説明

「最高の卒業式」を目指し、教師と生徒が努力を重ね、みんなでともに歌い、感動し、涙する「感情の共同体」が達成される――。この、日本独特と言える「儀式と感情との接合」は、いついかにして生まれたか。涙の卒業式、この私たちにとって当たり前の光景の背景には、明治初期以来の学校制度構築の歴史が横たわっている。日本の近代と教育をめぐる、まったく新しい探究! (講談社選書メチエ)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

またの名

7
国外から見ると珍奇な儀式文化である卒業式の歴史を、社会学的手法で探る。軍隊式のディシプリンを統括する天皇のまなざしに応えて形成された当初の卒業式は、ろくに歌唱も知らない教師たちやお祭りと勘違いする近隣住人のユーモラスな反応を生みつつ、晴れ着の児童がその場で卒業か落第か言い渡される残酷な瞬間でもあった。道徳心と愛国心をダイレクトに児童の脳髄に感染させる目的で唱道された歌の内容は、君が代や蛍の光(歌詞後半はモロに尊皇愛国)からいきものがかりやアンジェラ・アキへと変わりつつ、相変わらず共同の感情を醸造し続ける。2013/09/08

メルセ・ひすい

6
涙の卒業式、この当たり前の光景の背景には、明治初期以来の学校制度構築の歴史が横たわっている。日本独特と言える「儀式と感情との接合」とは… 日本の近代と教育をめぐる、ひとつの視角。 明治時代からの行事・制度については明治政府の成り立ち、過程を考慮すべきである。明治は日本国民の総意で成立していない憲法においても然り。この政府は軍事国家への道を猛進、後追い植民地主義 そして太平洋戦争敗戦… 欧米に対して無条件降伏、膨大な数の国民の犠牲を強いた。卒業式もまさにその明治憲法時代に開始されていることを考慮すべきだが…2013/05/11

kenitirokikuti

5
「感動的な涙の卒業式」というあり方や、いわゆる卒業式ソングというものは、〈ほとんど日本に特有の文化〉。その成り立ちについては、明治時代からの流れがある(江戸時代の寺子屋などにはない)。泣く卒業式は金八が有名だが、『二十四の瞳』の映画(1954)にもある(原作はない)。2017/07/22

maqiso

2
明治初期の卒業式は、卒業試験の直後に合否を発表する場であったり成果発表を兼ねた盛大な催しだったりした。学校の制度が整い同年代の子供が数年間を共に過ごすことが一般的になったことで、卒業式は規格化・儀式化し、卒業生の団結や在校生からの送別といった要素が加わった。唱歌の推進が成功し、歌によって式次第が区切られ、感動が歌われるようになった。体操や化学実験と違って唱歌のみが卒業式の中で生き残ったのが面白い。2021/05/11

チャーリイ

2
明治の学校教育黎明期、それはすなわち卒業式の黎明期であるのだが、天皇の権威を確立するための手段の一つとして始まっているのは興味深い。学校が地域に受け入れられていくのにも卒業式は大きな役割を持っているほか、いまの別れの要素は当時には無かったことなど、卒業式の意味合いが今とはかなり違うのが印象的だ。一方で、1900年ごろから現在の様な式の体裁が定まっていて大枠は変わっていないというのも面白い。史料として興味深い書だった。2014/06/27

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