講談社選書メチエ<br> 卒業式の歴史学

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講談社選書メチエ
卒業式の歴史学

  • 著者名:有本真紀【著】
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  • 特価 ¥797(本体¥725)
  • 講談社(2013/04発売)
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  • ISBN:9784062585491

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内容説明

「最高の卒業式」を目指し、教師と生徒が努力を重ね、みんなでともに歌い、感動し、涙する「感情の共同体」が達成される――。この、日本独特と言える「儀式と感情との接合」は、いついかにして生まれたか。涙の卒業式、この私たちにとって当たり前の光景の背景には、明治初期以来の学校制度構築の歴史が横たわっている。日本の近代と教育をめぐる、まったく新しい探究! (講談社選書メチエ)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

またの名

7
国外から見ると珍奇な儀式文化である卒業式の歴史を、社会学的手法で探る。軍隊式のディシプリンを統括する天皇のまなざしに応えて形成された当初の卒業式は、ろくに歌唱も知らない教師たちやお祭りと勘違いする近隣住人のユーモラスな反応を生みつつ、晴れ着の児童がその場で卒業か落第か言い渡される残酷な瞬間でもあった。道徳心と愛国心をダイレクトに児童の脳髄に感染させる目的で唱道された歌の内容は、君が代や蛍の光(歌詞後半はモロに尊皇愛国)からいきものがかりやアンジェラ・アキへと変わりつつ、相変わらず共同の感情を醸造し続ける。2013/09/08

メルセ・ひすい

6
涙の卒業式、この当たり前の光景の背景には、明治初期以来の学校制度構築の歴史が横たわっている。日本独特と言える「儀式と感情との接合」とは… 日本の近代と教育をめぐる、ひとつの視角。 明治時代からの行事・制度については明治政府の成り立ち、過程を考慮すべきである。明治は日本国民の総意で成立していない憲法においても然り。この政府は軍事国家への道を猛進、後追い植民地主義 そして太平洋戦争敗戦… 欧米に対して無条件降伏、膨大な数の国民の犠牲を強いた。卒業式もまさにその明治憲法時代に開始されていることを考慮すべきだが…2013/05/11

kenitirokikuti

5
「感動的な涙の卒業式」というあり方や、いわゆる卒業式ソングというものは、〈ほとんど日本に特有の文化〉。その成り立ちについては、明治時代からの流れがある(江戸時代の寺子屋などにはない)。泣く卒業式は金八が有名だが、『二十四の瞳』の映画(1954)にもある(原作はない)。2017/07/22

左手爆弾

4
事例を紹介→これはフーコーが言うところのコレコレ……という形で進んでいくタイプの本で、誠実ではあるが、構成としては今ひとつ盛り上がりがない。もっとも、テーマ設定は興味深い。学校は個人が泣いたり、感情を表に出すことを極端に嫌う。それに対して、卒業式や部活での勝利などでは涙を流すことがむしろ良いことだとされる。そうした共同の感情としての装置がどのように作られてきたのかを歴史的に振り返っていく。結局のところ、フーコーやデュルケームに依拠して「近代=規律訓練」という図式で説明される。2024/08/16

maqiso

2
明治初期の卒業式は、卒業試験の直後に合否を発表する場であったり成果発表を兼ねた盛大な催しだったりした。学校の制度が整い同年代の子供が数年間を共に過ごすことが一般的になったことで、卒業式は規格化・儀式化し、卒業生の団結や在校生からの送別といった要素が加わった。唱歌の推進が成功し、歌によって式次第が区切られ、感動が歌われるようになった。体操や化学実験と違って唱歌のみが卒業式の中で生き残ったのが面白い。2021/05/11

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