内容説明
自ら滅び行く日本民族へ――
最後の文士・野坂昭如の遺言
右へ進もうが、左に行こうが、日本のお先は真っ暗闇。食と農を疎かにし、金と物を崇め、原発エネルギーに突っ走り……その当然の報いによって、日本は滅びようとしている。希望や救いはどこにもない、日本はもう一度焼け野原になるしかないことを万感を込めて謳う、“最後の文士”野坂昭如、渾身の檄文。
目次
第1章 この世はもうすぐお終いだ
第2章 食とともに人間は滅びる
第3章 これから起きるのは、農の復讐である
第4章 すべての物に別れを告げよ
第5章 また原発事故は起こる
第6章 滅びの予兆はあった
第7章 上手に死ぬことを考える
第8章 安楽死は最高の老人福祉である
第9章 日本にお悔やみを申し上げる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
75
著者のこの国に対する絶望感がすごく伝わった。2013/10/03
ichiro-k
21
著者のイメージのまんまの内容。敗戦直後の食糧難がトラウマになっっているようだ。幼いころ好き嫌いが激しかった私に向かって亡くなった祖母が「戦争になったらこの子は大変だ」と言ったことを思い出す。 2013/03/28
壱萬弐仟縁
13
本屋立ち読み→図書館新刊コーナーより拝借。本屋には悪いが、貧困ODにとっては理想的(笑)。全体的に、ストレートに読者に入ってくることばが多い。だから最後まで澱みなく読み切ることができる。下山、終末とネガティヴだが。「中年は飢えを前に、酒でも飲んで死ぬのを待つしかない」(10頁)。そうだろ。そうだろ。少子化は希望の持てない本能の現れ(13頁)。立ち止まり、立ち返ることを忘れている(25頁)ために、憲法改正の勢力が支持されかねない。忌々しき事態だ。食糧や言語を粗末にする食えない将来日本。杞憂でない日本の醜悪。2013/04/16
ophiuchi
12
かなり過激な内容で、遺書のつもりで書かれているように思う。NHKもまだこの頃(2013年)はまともだったようだ。2018/08/02
更紗蝦
12
この本が出版されたのは2013年ですが、地震国に原発を作ることの危険性を指摘している第5章の初出が2001年ということに驚きました。東京が震災に襲われる危険性を指摘している第6章の初出は1992年です。食をはじめとする日本の様々な文化の喪失、拝金主義、無責任社会などへのストレートな批判の言葉の数々は、思い起こせば私が子供の頃は戦前生まれの方々がよく口にしていました。正直言ってその頃は煩くしか感じていませんでしたが、今になってようやく「戦争を体験した世代」の言葉の重さや切実さを理解できるようになりました。2014/12/02