妻の超然

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妻の超然

  • 著者名:絲山秋子
  • 価格 ¥594(本体¥540)
  • 新潮社(2013/04発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101304540

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内容説明

結婚して十年。夫婦関係はとうに冷めていた。夫の浮気に気づいても理津子は超然としていられるはずだった(「妻の超然」)。九州男児なのに下戸の僕は、NPO活動を強要する酒好きの彼女に罵倒される(「下戸の超然」)。腫瘍手術を控えた女性作家の胸をよぎる自らの来歴。「文学の終焉」を予兆する凶悪な問題作(「作家の超然」)。三つの都市を舞台に「超然」とは何かを問う傑作中編集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

476
「超然」とは?知っているようではて、代替えの言葉は?「俯瞰」かなと考えつつ読むと、『下戸の超然』の主人公はバッサリと「部外者であること」と斬る。家族の中でも身近な存在であるはずの妻が夫に対して「超然としてしまう」。下戸な男が呑兵衛の彼女に対して「超然としてしまう」。どちらも心理描写がスゴい。ラストの『作家の超然』だけ少々毛色が違うのは、絲山さんご自身の私小説か。ご自身居住の高崎はともかく、それほど馴染みのないと思われる、小田原や北九州舞台の作品でもやすやすとモノにしてしまう絲山さん、さすがだわ。2019/08/25

ヴェネツィア

283
「新潮」に掲載された3つの「超然」の物語。いずれも多かれ少なかれ作家そのものを反映しているのだろうが、とりわけ「作家の超然」にはそうした要素が濃厚だ。もちろん、これはあくまでも小説なのだが、それでもそこに滲む圧倒的なまでの孤独は作家の内質を語っているのだろう。「妻の超然」にしても「下戸の超然」にしても、主人公たちはけっして超然としてはいられない。本当はそうありたいのだろうが、他者に対した時には、それは所詮は不可能である。畢竟、これら一連の作品群は超然とありたい作家の悲痛なまでに不可能な願望の表出なのだ。 2015/01/28

しんごろ

182
やっぱり絲山秋子作品はいい。三編からなる短編集。すごくリアルな感じがあって読ませてくれた。妻、下戸、作家、それぞれの態度、考え方、振る舞いがぶれないというか、こういうのを超然というんだなと妙に納得。どの話も面白かったです。構成が異なる『作家の超然』は好みが分かれるかもしれませんね。また再読したくなるクセになる面白さでした。2021/04/28

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

168
妻、下戸、作家それぞれの「超然」を描く3編の短編集。まず、この3つのチョイス自体が絲山さん、という感じ。▪️妻の浮気している夫に対して「あなたはクレジットカードのように/その加齢臭を携帯している」とか「遠からず/小の用にしか使い物にならない、伸縮不可の粗品」とかの辛辣さに爆笑。 ▪️下戸の主人公は九州出身で、確かに九州男子で下戸は生きにくかろう、と同情。たかがお酒、されどお酒。「いいことをしている」という彼女の「善意」の際限のなさに違和感を覚えたり、酔えない飲み会の理不尽さは、お酒好きな私も完全に同感。2019/06/15

じいじ

94
物事にこだわらない超然とした主人公・理津子さんが好きになりました。晩婚の理津子さん、5歳年下の夫との十年後48歳の日常を達観した妻目線で綴ったお話しは、面白いです。楽しいです。ニンマリ(時々は腹を抱えて)笑えます。或る日突然、見慣れないブランドのパンツをはきだした夫、浮気と直感するも悠然と構える妻がいいですね。そんなことがあっても、せっせと夫の好物作りに精を出す出来た理津子さんがステキです。三篇の「超然」を綴った一冊は面白くて、寝不足の一気読みでした。2019/05/13

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