内容説明
大学1年生の晴希は、道場の長男として幼い頃から柔道を続けてきた。だが、負けなしの姉と比べて自分の限界を悟っていた晴希は、怪我をきっかけに柔道部を退部する。同時期に部をやめた幼なじみの一馬に誘われ、大学チア初の男子チームを結成することになるが、集まってきたのは個性的すぎるメンバーで……。チアリーディングに青春をかける男子たちの、笑いと汗と涙の感動ストーリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Atsushi
220
晴希と一馬を中心とした16人の男子大学生がチアリーディングに挑戦する物語。ある目標に向かって努力する人の姿は美しい。それが若人ならなおさらだ。最終章「二分三十秒」は読み進めるのがもったいない気がした。高城コーチに毎日提出するノートにつづられたメンバーのチアに対する「熱い思い」。それぞれが皆の思いを共有して臨んだ全国選手権。勇気と元気をもらった。感動の一冊、お薦めです。2017/07/07
おしゃべりメガネ
219
さすが若くして「直木賞」を受賞しただけのことはある朝井リョウさんですね。青春モード爆発で、ただ爽やか路線まっしぐらではなく、しっかりと登場人物それぞれの苦悩や不安を重すぎない程度に書き綴る技量に感服しました。およそ500頁の大作ですが、1泊2日で読み終えてしまうほど勢いがあります。ある理由から柔道を辞め、チアチームを親友と結成し、仲間を集め、大会で勝つことを目指します。ただ勝つことだけが大切ではなく、その流れの中で、見失いがちな人とのかかわり、思いやるキモチなどをどこか切なく説いていく感じが良かったです。2016/07/05
takaC
191
読む場所を選んで読まないといけない危険な本だった。特に最終章10「二分三十秒の先」幕張メッセが危険だと察知できたので大事に持ち帰って自宅で読んだ。案の定その読みは大当たり。さて目薬はどこだ!?2014/01/30
masa@レビューお休み中
189
朝井リョウが料理をすると、熱血スポ根も、ただの熱血ではなくなる。若さや情熱といったものを孕んでいるにも関わらず、どこか冷静で醒めているのだ。だから、彼等は好きなものをやらずに諦めていたり、好きなものを好きと言わなかったり、本気なのに本気ととられないような行動をする。決して策略家でもないし、計算してもいない。男子というものは案外そういう生き物なのかもしれない。そうやって、本音を見せないで距離をとりながら日々チアチーディングの練習をしていくのだから綻びがでない訳がない。だから物語は面白いに決まっている。2016/04/10
まりも
167
道場の長男として幼い頃から柔道を続けていた晴希が、怪我をきっかけに柔道をやめ、親友の一馬と共に男子チアチームを結成するところから始まる青春ストーリー。ウォーターボーイズを彷彿とさせる直球の青春物語でありながら、作者さんらしさもしっかり出ていたので楽しく読む事が出来ました。それぞれ色んなものを抱えた青年達が、つらいことや楽しいことを共に経験し、一つの目標に向かっていく姿はキラキラと輝いててすごく良かったです。スポーツの楽しさ、青春の大切さを教えてくれる素敵なお話でした。チア観に行きたくなりますね。2016/01/18