小学館文庫<br> 出星前夜

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小学館文庫
出星前夜

  • 著者名:飯嶋和一【著】
  • 価格 ¥957(本体¥870)
  • 小学館(2013/04発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784094087963

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内容説明

キノベス1位&大佛次郎賞受賞作!

大佛次郎賞+キノベス第1位の2冠に輝いた、歴史超大作!

寛永14年(1637)、突如として島原を襲った傷寒禍(伝染病)は、一帯の小児らの命を次々に奪い始めた。有家村の庄屋・鬼塚甚右衛門は旧知の医師・外崎恵舟を長崎から呼ぶが、代官所はあろうことかこの医師を追放。これに抗議して少年ら数十名が村外れの教会堂跡に立てこもった。
折しも代官所で火事が発生し、代官所はこれを少年らの仕業と決めつけ討伐に向かうが、逆に少年らの銃撃に遭って九人が死亡、四人が重傷を負った。
松倉家入封以来20年、いっさいの抵抗をしてこなかった旧キリシタンの土地で起こった、それは初めての武装蜂起だった‥‥。

結局は幕藩体制そのものに抗うことになる海民・土豪らの絶望的な戦いがここから始まる。向かう先は破滅にほかならなかったが、それでも彼らが戦うことを選んだのはなぜだったのか?
原稿枚数1200枚! 大部ながら一気に読ませる本作もやはり「飯嶋和一にハズレなし!」である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三代目 びあだいまおう

300
絶望に抗う者達の、死という唯一の希望を胸にした壮絶な作品。無情な圧政に我慢を重ねながらも絶望を生きる民達。襲いくる死病の非情が罪無き幼子達の命をも無情に奪う。これは非業な権力者と、一方的に塗炭の苦しみを余儀なくされる無力な者達との壮絶な戦、島原の乱!読み応え充分!作中の視点変化が目まぐるしく幾度も読み返す。作中の人物たちが話す言葉に一文字の過不足さえ感じさせないリアリティーと臨場感、感情が満ちている!聞き逃すまいと傾聴するが如くじっくり読まされる。蟻の眼鷹の眼で描かれる圧巻の人間模様に感服しかない‼️🙇2020/05/12

レアル

74
島原の乱を描いた作品だが、こちらキリスト教という宗教問題が蜂起の主訴ではなく、支配者である松倉家の苛政がこの蜂起の一番の原因だと描いている。この松倉家、九州の前は大和五条を支配していて確かその頃は善政だったはず。九州に治める地を移った途端にどうしてこんなに悪政になったのだろうか!と個人的にはこちらの方に興味を持つ。かつて学校の授業以外に高校生の頃に宗教の時間でこの乱について学んだが、史実も少し違うような気もする。どこまで史実通りか分からないが、読み応え抜群の作品だった。2016/07/06

goro@80.7

69
1頁に書かれる活字の率の高さは1番を争うのは飯島和一だろう。ぎっしり詰まった700頁を読み終えて感じる事は恐ろしい数の虚しさと一つの光。島原の乱がどのような経緯で起こったのか、すべてはキリシタン弾圧という分かりやすい言葉ではなく、連綿と続いた生かさず殺さずの体制が引き起こした事。いつの世も強者が弱者を食い物にしてきた。その弱者も立場が変われば強者となり、また弱者を顧みない。そんな虚しさを知ってしまった寿安。寿安は導かれるように歩き始めたが、無残に散った島原がなんともやりきれないのだ。2021/11/21

鈴木拓

44
歴史を学ぶというのは、年号を覚えることに非ず。なぜ人々がそのような歴史を歩んだのか、そこにあった人々の心を想像し、未来への学びとすることこそ、歴史に学ぶということなのだろう。そのことを痛感させられる作品である。 小中学生で習った島原の乱は、キリスト教徒による武装蜂起だったという程度のものであった。キリスト教が禁止され、それに対する反発だったといった認識しか持ち合わせていなかった。まったく不勉強極まりなかったと思う。2021/11/28

名古屋ケムンパス

44
圧巻の700頁。島原の乱の蜂起につながる松倉藩の圧制から4ヶ月に及ぶ激闘の歴史を島原に暮らしていた有馬家の旧家臣ら、重税に苦しむ旧キリシタンの民衆の目を通して切々と語ります。蜂起の必然と老若男女2万7千人の犠牲者、引き続く300年余りの禁教の歴史。抵抗の民の姿に真実を見つめる視座を与えてくれます。2018/08/25

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