内容説明
突然、原発事故対応の現場に放り込まれた著者は、眼前の光景に愕然とする。「政治主導」をはき違えた政府、楽観論にこだわる「原子力ムラ」……機能不全の現場には「リアリズム」が欠如していたのだ。高線量下で現場作業をどう進めるか? 原発をコントロールすることは本当に可能か? 真の危機管理能力とは何か? 政治の無力さに苦悩しつつ、その役割と意義を自問し続けた経験から語る現実主義的政治論。
目次
突然の要請
そこで何が起きていたのか
なぜ現場は混乱していたのか
困難なミッションを進めるには
「最悪の事態」をどう想定すべきか
情報とデータをどこまで信用するか
原子力ムラの論理とは
政治家はなぜ危機に対応できなかったのか
現場を見ることの意味とは
私たちは危険をコントロールすることができるのか
これからの原発をどう考えるか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
calaf
11
著者の馬淵氏って、民間企業出身で技術者寄りという経歴の人だったんだ...それはともかく、いろいろな問題点を残した東日本大震災と福島原発事故対応。これを教訓にして(?)、日本はどう進んでいくのだろう...2013/06/17
MAT-TUN
6
原発事故発生から同年6月まで(2011.3.26-2011.6.27)に馬淵議員が行った政府と東電との統合本部での原発事故対策活動がつづられている。馬淵議員は、率直でまっすぐな人であることはわかる。しかし、本書からは民主党のふがいなさばかり感じた。本書のもっとも大きなメッセージは「あらゆる事態において民主党は、リアリズム、戦略的思考、マネジメント力が欠如していた」という議員自身の指摘に尽きるだろう。私はその三要素の欠如の根本原因は、民主党自身が立党の理念を欠いた寄せ集めの政党だったからだと感じている。2013/03/14
みじんこ
4
3/25に突如要請を受け原発対応にあたった著者。その中で感じたこと、考えたことを素直に書いている。近藤シナリオやスラリー計画の話が順に語られるが、確かにこれを当時公表していたらパニックが起きていただろう。後半は組織マネジメントの重要性を説き、突然政策をぶち上げることはリーダーシップとは言わないなど当時の首相を戒め、自身も含めて党全体の問題点として反省したりしている。著者は民間企業で働いていた経験があり、そこから東電という組織にいる人間の考え方、防衛本能などを説明しておりなるほどと思わせる指摘が多かった。2016/03/16
めぐりん
1
理念に頼った(元)民主党の中で、経営者経験も踏まえ地に足の着いた政治家との印象を強く持った。311の一連の反省を経ても、なお、政府の中には、「万が一の事態に対して準備をすることは、万が一の事態が起こることを認めること」という考え方があるのではなかろうか。2020/10/17
56
1
技術によって人間も変わってしまうということ。その変化を防ぐには強固な制度を用いらなければいけないということ。2015/01/05