内容説明
今回の陣触れはひどく急だった。神子田久四郎らが参陣した青山信濃守の軍勢は、国境にある敵城へと向かっていた。城主・武田左近将監の討死の報せを聞き、急ぎ出陣したにもかかわらず、榎沼城はすでにいくさ支度を調えて待ち構えていた。この城攻め、何かおかしい──。無理難題の主命、敵方には貴族出の女城主。矢玉飛び交う戦場で運と欲に翻弄される人びとは、生き残りと恩賞をかけて駆け回る。傑作戦国エンタテインメント!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松風
16
岩井三四二らし~い、戦国もの。陳腐な、勇ましく、かっこいいだけの〈武将〉モノの鋳型とは一線を画す。〈戦争〉に、なんの〈義〉もあったもんじゃない。ならば、麻喜様もあっぱれな戦さぶり、と読んだ。2014/03/28
pdango
11
★★★☆☆有名な武将は出てこない、名もなき人々目線のいくさ。ほんとのとこ、こんな感じだったんだろうなぁと思う。2016/06/10
蕭白
11
面白かったです。プロローグでの謎が、しっかりエンディングで解き明かされていました。主人公の奮闘ぶりも◎でした。争いの切なさもにじみ出ていたように思いました。2016/01/11
みどらった
4
城攻めを下層の地侍の視点から見る。上から岩を落とされて大けがする者。苦労して奪った曲輪が夜中にあっという間に奪いかえされる。思いもかけない火縄銃の威力。戦い慣れして器用にふるまう奴。賞金に目がくらむ奴。戦う前の緊張感。終わった後の安心感。伝わってくる。2016/12/28
キャプテン
3
★★★★☆_コメント追記。痛快、歴史エンターテイメント。“城攻め”を現場の下っ端目線で臨場感たっぷりに描く。下っ端目線でも、今回の城攻めの違和感を感じ、同じ目線で何かあるぞ、と思わされる。上は大義名分だのなんだのを振りかざしているが、下っ端はそんなん大して気にしていない。気になるのは飯と報酬のこと!面白い。歴史小説好きなのにこの本を読んでいないのなら、単に損してます。歴史小説好きじゃなくても楽しめます。臨場感がすごい。2016/02/27