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内容説明
武術において想定外は許されない。不意の事態に際して、最適な答えを常に求められるのが武術本来の在り方だ。その精神は危機の時代、先の読めない荒天の世にこそ真価を発揮する。現代思想家・内田樹は合気道七段の武道家でもある。その内田が注目するのが中国武術韓氏意拳の光岡英稔。光岡は十一年にわたるハワイでの武術指導歴を持ち、きれい事ではない争闘の世界を歩いてきた。本書は二人の対話を通じ、護身、闘争という狭い世界にとどまらない、武術に秘められた荒天の時代を生き抜くための知恵を提示する。【目次】はじめに 「弱い武道家」という立ち位置から 内田 樹/序章 武運ということ/第一章 荒天を生きるための武術/第二章 荒天型武術の学び方/第三章 達人はフレームワークを信じない/第四章 荒天を進む覚悟/おわりに きれい事では済まない状況を如何にきれいに解決できるか 光岡英稔
目次
はじめに 「弱い武道家」という立ち位置から 内田 樹
序章 武運ということ
第一章 荒天を生きるための武術
第二章 荒天型武術の学び方
第三章 達人はフレームワークを信じない
第四章 荒天を進む覚悟
おわりに きれい事では済まない状況を如何にきれいに解決できるか 光岡英稔
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gatsby
23
武道とは無縁な生活をしている私だが、内田先生の言う身体のセンサーはよく働く方だと自分では思う。内田先生の本を読んでいると、今まで自分とは縁遠かった世界とつながれる気がするので、とてもワクワクするのである。当然、武道家の語る言葉であるから、どういうことを言っているのか理解できないところがあるし、光岡先生の表現に内田先生ですらついていけていないということがしばしば起こっている。それを内田先生は楽しんでいるのだろう。それは私たちも同じであり、何のことかわからないけれど、なぜか面白そうな言葉に触れる楽しさがある。2013/01/16
佐島楓
17
内田先生と対談なさっている光岡さんという武道家の方は、お若いのに物凄く研ぎ澄まされた人物。武道も極めるとこんな言葉を持てる人間になれるのか、と思いました。人としてサバイバルすることが難しくなっているという指摘には頷きました。危険への嗅覚が鈍っている、だから即武術にスイッチというわけには私のような凡人にはいかないのが歯がゆいところ。2013/05/21
鯖
14
戦国や幕末の武芸者たちが今、生きていたら、おそらく剣は握ってなくて、原子力や軍事力の研究をしてただろうという文には納得。身体性や武について幅広く触れられていて、とっちらかっている印象はあるけれども、それが逆によかった。昨今いろいろと批判されがちな内田先生ではありますが、誰が主張することであっても、100%の賛成も、100%否定もないと思うんだよなあ。ネットだと特に二元論に走りがちな気がして、息苦しくなる。2014/09/16
Sakie
10
新しい教室へ移って1年の節目が見え、途方もなく惑って再読。光岡さんの経験と内田先生の知見に基づいた対談には、忘れているものも多い一方で新しい箇所に目が留まることもある、気づきの宝庫だ。武術においては身体で身体を見ないといけない。気持ちを開放して、伸びやかに。自分自身の全体のつながりを、自分の身体の生きようとする働きを、静かな気持ちで、透明な感覚で、自分の内側を観察し、外側を感知する。大丈夫、私の身体は頭がいい。指導されたことを忘れたってOK。言葉は身体に残らないというだけ。だから、身体を否認しないこと。2017/07/05
Bartleby
10
光岡さんの講習に参加したことがある。言われたとおりに体を動かそうと意識するとうまくできない。なのに間近で指導されたとたん、すっと自然に体が動いて「あれっ」という不思議な気持ちになったのを覚えている。この本ではかなり高度な武道の話もされていて、時間論(無時間論?)にいたっては全然理解できない。だけど「やらないようにやろうとする」という言葉だけはあの感覚のことを言おうとしてるんだなというのが分かった気がして少し嬉しかった。2013/08/25