内容説明
“うだつ屋”と呼ばれる朝倉智右衛門。
財政破綻で取り潰し目前の藩、不良債権で破産寸前の大店から、頓挫した橋の改修事業まで、思いもよらぬアイデアと創意工夫でうだつを上げる「再建屋」だ。
飢饉や経済失政で社会が危機に瀕している天保年間に、最強の専門家チームを率いて飄々と不可能事を成し遂げるプロフェッショナルの姿を描き、新境地を開く新シリーズ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
106
うだつ屋智右衛門 縁起帳1巻。財政破綻しそうな大名、不良債権で破産しそうお店、問題山積みの橋の改修工事等を再生再建させる智右衛門さん、楽しく読めて面白いですね。2016/01/29
文句有蔵
8
私自身が長く経理をやってきたので、面白く読めた。しかし短編の連作という形式の為、少々食い足りなくもあり、そこが残念。特に巻頭の「うかれ殿様」は、折角水野の名前まで出しているのだから、もっと掘り下げて欲しかった。読了の率直な感想が「ふぅーん」となってしまうのは、どの章も「再建への道筋」までで終わっているからだ。復興の暁までを追って描かれてあれば、胸がすいただろうと思えるだけに惜しい。素材もテーマもよいが、インスタントに仕上げ過ぎてレトルトパックのようだ。実に勿体ない。2015/07/07
デジ姫
5
再建に乗り出すまでのうだつ屋の仕事ぶりは面白いけど依頼者側の努力を交えた話も欲しかった。読み手としては再建終了までしっかり見届けたかったから毎回肩透かしくらったようで最後のシメがイマイチのような気がする・・2016/08/11
sken
1
先日この作者の別の蔦谷何とかを読んで、そのあまりの内容の薄っぺらさに久々に途中で図書館に返してしまいましたが、この作品はそれなりに読めました。ただ多くの登場人物がいる割には人物造形がやや浅く、さらにエピソードもやや消化不良に終わるものが多く、本当はもっと面白いものを書ける方なのにちょっと残念な気がします。 2013/02/05
Yasuko Netsu
1
実家から帰る途中の車中用に求めた本。時代物は現代ものと違い説明が多かれ少なかれ必要になる。その分量と、プレゼンテーションのバランスが難しい。説明が少ないと話の輪郭がぼけることがあるし、説明が多すぎるとこれまた話の筋がぶれる。その加減は難しいと思う。プロットとしての芯が背景に大きくかかわっていると説明は抜けないが、この作品でこれだけの説明の量はプロットとして必要だったか?やや冗長だったかも。2013/01/04